ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

194. ピニャル・ノヴォの露店市は大賑わい

2022-12-01 | 風物

 露店市で店を出しているのはジプシーがほとんどで、他には少しのインド人たちだ。彼らは一家総出で商売をしている。生まれたての赤ん坊やヨチヨチ歩きの幼児や遊び盛りの子供たち。売り場の通路や空き地で走り回って遊んでいる。

 ピニャル・ノヴォの露店市はとても広い。年々駐車場が広がり、買い物をしている人々も増えている。

 

ワインを仕込んだ後のブドウの搾りかすからアグアデンテ(焼酎)を蒸留する道具

 

 先月、ニュースで買い物客にインタビューしていたが、「このごろ物価が急激に値上がりしたので、スーパーやメルカドは高い。露店市の値段がどこよりも安い」と答えていた。

 次の日曜日はピニャル・ノヴォの露店市なので出かけた。気のせいか走っているクルマがすごく多い。ひょっとしてみんな露店市に行くのだろうか。ずっと手前のロータリーからひどい渋滞が始まった。まさか~、先日のニュースを見た人々がいっせいに露店市に詰めかけているのだろうか。信じられない!

 いつもクルマを停める道路脇の駐車場は空きがない!すごい数のクルマだ。奥まった広い駐車場まで行ってもクルマでびっしり。しかたなく、そのずっと奥まった場所まで行ってようやく空きがあった。そこから先は畑で、道は行き止まり。

 小川を挟んで野菜の苗を売っている露店が見える。昔、細ネギの束が並べてあった。ポルトガルのネギは太いので、使いにくい。目の前にあるのは日本のネギそっくりで、これなら使い易そうだ。さっそく買うことにした。ところがおやじさんはネギの束をむんずと掴んで葉っぱを切り落とそうとした。慌てて停めたら、「何で?」と怪訝な顔。「そこを食べるのよ」というと、おじさんは「これを植えるんだよ」と言う。「なんで?」「タマネギは根っこを畑に植えるんだよ」「タマネギ?」

 ネギだと思ったのはタマネギの苗だったのだ。おじさんの足元には切り取った葉っぱが足の踏み場もないほど散らかっていた。

 

露店市で売られている中国キャベツ(白菜)の苗、12本で1ユーロ

 

 このごろなぜか白菜の苗が売っている。名前は「中国のキャベツ」スーパーでもたまに野菜の棚に並んでいるが、手を伸ばして買っているのはわたしぐらいで、他には見たことがない。ところが、露店市で苗が売っている。ということは苗を買って畑に植える人がいるということ。私的にはどんどん普及してほしい。ついでに大根とゴボウ。

 大根は以前、知り合いが借家の前にある道の花壇に大根の種を蒔いて育てていた。とても狭い花壇なのに、立派な大根ができた。たぶん肥料や消毒を適切にしたのだと思う。

 彼は同じ花壇に糸ウリをまいた。花が咲き、実がついてすくすく育ってもうすぐ収穫ができると楽しみにしていた矢先、実は突然姿を消した。大根には興味はないが、糸ウリは食べられると知っている人が持ち去ったに違いない。糸ウリは糸状の中味をあまく煮て、パイに詰めたお菓子がある。初めて食べた時は、つるつるした中身がなんなのか判らなかったが、それがカボチャのような糸ウリの中味と知って興味深かった。日本では一度も見たことがなかったのだ。

 花売り場は人だかりが凄い。11月に入って雨が毎日の様に降るので、畑や庭の植木を植える人たちが多いのだろう。じぶんより背の高い鉢植えを抱えている男、重そうにしている。車まで運ぶのがひと苦労だ。

 いつものジョアオンの食堂で炭火焼きのエントレメアーダサンドとノンアルコールビールの昼食を済まして、あちこち歩き回った。

 

生きた鶏売り場では珍しいニワトリを眺める親子

 

 歩き疲れたので木の下に作ってあるベンチに腰掛けた。木の周りをぐるりと囲むように作ってある手製のベンチで、高さが一定ではないから座りにくいのだが、仕方がない。しばらくゆっくりしていると、3人のジプシーの子供がやってきた。となりに座って騒いでいたが、その中の一人が突然私の前に立ち、歌い始めた。フラメンコのダンスにあわせて歌うカンタだ。10歳になるかならないかという男の子がどうどうと歌っている。なかなか巧い。あっけにとられて見ていたが、あとで考えたら手拍子をしたらよかったかな~。

©2022/12/01 MUZ

 

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