ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

167. コロナウイルスの影響で

2020-09-01 | 風物

コロナウィルスの影響で、ポルトガルのコンサートやイベントがことごとく中止になった。その中に祭りも含まれる。

北部のヴィアナ・ド・カステロのロマリア祭もやはり中止になってしまった。この祭りはずいぶん前に2回ほど見たことがあるが、もう一度見に行きたいと思うほどだ。伝統的な民族衣装に身を包んだ美男美女が自分の家に代々伝わるネックレスなどを何重にも首に飾り、ゆっくりと練り歩く。赤や緑や黒の民族衣装に金色が映える。若者たちが力いっぱい叩き鳴らす大太鼓や、ギガンテと呼ばれる2メートルもある張りぼての人形には人が中に入っていて、太鼓に合わせて踊りながら行進する。祭りの最終日には、マリア像を乗せた船が先頭に立ち、漁船を後ろに従えて行進をする。漁師の祭りだ。

セトゥーバルでも漁師の祭りが毎年行われるが、今年は異例で、8月23日にサド湾に漁船の群れが現れた。ざっと見て50隻ほど。いつもの半分ほどだろうか。祭りは「ノッサ・セニョーラ・ダ・トロイア」と言う。今までならマリア像や神父たちが乗った船を先頭に、それを先導する船が花火を打ち上げるのだが、今年は何もなしで、しずしずとトロイア半島に向かって進んで行く。例年ならトロイアの教会にみんなでお参りした後、そのまま泊まり込みで宴会が始まるのだが、今年はコロナ騒ぎでそれどころではなく、水上から拝んだあと町に引き返してきた。

翌日、月曜日の夕方5時にまた多くの漁船が集まり、トロイアの教会に向けていっせいに進み始めた。トロイアに着くと、そこで隊列を整えてビーチ沿いに大西洋に向かって進み、サド湾を出てアラビダ山の麓、ポチーニョまで行き、中腹にあるアラビダ修道院を海上から拝む。そこは昔多くの修道僧が自給自足の生活をしながら、瞑想にふけっていた場所。今は誰もいない無人の修道院だが、漁船団は海上から1時間ほど拝んでから隊列を整えてサド湾の港に帰って来た。

来年はぜひ平常どおりの祭りに戻って欲しい。

 

港に戻って行く漁船団(2020年8月24日、我が家のベランダから撮影)

 

8月末、いったん落ち着き出したコロナウイルスはふたたび勢いをつけ、28日には死者が6人も出た。ニュースでは第二波がきたと騒いでいる。

トロイア半島にあるコンポルタ村でもとうとう発生したようだ。私たちが以前行ったことのある焼き魚のレストランのまわりで発生したようで、店は完全に閉まっていた。その他にも、コンポルタのビーチにある高級レストランやコメの博物館なども閉鎖されていた。トロイアはカジノや高級別荘地などがどんどん増えて、イギリス人やフランス人が住み着き、外国人旅行者なども多い。

南のリゾート地、アルガルベ。ファーロ空港にもぞくぞくとイギリスあたりから旅行者が降り立っている。イギリスは死者が多いから、そこから逃れてくる若者たちや家族連れが真夏の海を求めてやってくる。ファーロ空港ではSEF(移民局)が取り締まり官を増員して、警戒にあたっている。

9月か10月には落ち着くだろうと思っていたが、これではますます感染者が増えそうだ。

日本でもまさかの感染者が急増している。私たちはもう6か月間も自宅待機。そろそろどこかに出かけたいと思っても、どこにも行かれない。MUZ

 

 

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