ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

171. ポルトガルの武漢ウイルス

2021-01-01 | 風物

2021年、新年明けましておめでとうございます。

セトゥーバル港の初日の出(2021年1月1日、7:55ベランダから撮影)

 

このごろ寒い、寒い。朝方は2℃、3℃で日中も13℃ほど。でも日中は天気が良いと窓際に座り、日向ぼっこ。そうすると身体がポカポカ温かくなる。

ポルトガルも武漢ウイルスの死者が秋口から急に増えて、毎日70人、80人と驚くほど急増している。以前は死者が一日、数人に留まっていたのに、なぜか一気に増えた。スペイン、イタリア、フランス、ドイツなども同じように犠牲者が増えている。ここにきてイギリスで強力な変異種が出現して、それは今までのウイルスの数倍の感染力を持っているという。各国が慌てて入国拒否を始めた。イギリスからの旅行者を拒否し、イギリスからの航空機も乗り入れを拒否する国がいくつも出てきた。いつも対応の遅い日本でさえ、今回はイギリスからの入国を拒否した。でもすでにイギリスからの日本人帰国者が3人ほど感染しているのが発見された。本人たちは自覚症状がほとんどないそうだ。同じ機内に乗り合わせた乗客たちも感染しているかもしれない。

ほんとに厄介なことになった。ポルトガル人は知人にあうと、お互いに相手のほほに軽くキスして抱擁する習慣がある。でも武漢ウイルスが流行り出してからは、その習慣は仕方なく止めて、その代わりにお互いの肘を軽く合わせることが流行っている。マルセロ・デ・ソウザ大統領も率先してやっている。日本人の様に頭を下げるお辞儀だけで良さそうなものだが、ポルトガル人にとったらそうもいかなようだ。昨日のニュースで見たのだが、老人ホームに入所している親に会いに来た娘が親と対面するのに、親との間にビニールのカーテンがあり、そこには両腕を差し込める袖の様な立体的な形が作られ、親も娘もお互いにそこに両腕を入れて、ハグをしていた。親も娘も泣きながら抱きしめていた。老人ホームでは今までも集団感染で次々と死者が出ている。感染者の多いイギリスやフランスなど国外に出稼ぎに行っている子供たちが帰国して老人ホームに面会に来ているのが感染源ではないかと疑われている。武漢ウイルスの感染がどんどん広がっていた8月ごろ、他の老人ホームでやはり親に会いに来た娘が二階の部屋にいる母親と面会する方法として、クレーン車のカゴに乗って二階のガラス越しに涙の対面をしていた。それを見て思わずもらい泣きしそうになった。

ポルトガル人は家族のきずながとても強い。でも年を取った親は子供たち家族と同居はしないで、老人ホームに入るのがふつうだ。その老人ホームで感染が広がり、次々に入居者たちが亡くなって行った。

私たちがたびたび行っていたアレンテージョ地方のレゲンゴス。この町の老人ホームもそのひとつだ。レゲンゴスは叔父さんたちのコーラスがある。楽器を全然使わず、アカペラで歌う。声の高低や時々入るソロで引き締めて、地響きのしそうな迫力。聞いているとほれぼれする。おじさんたちはほとんどが年寄りであるが、歌っている時は張りのある声で、生き生きと歌っている。

彼らが元気でいてくれたらと、願わずにいられない。

 

2020年は前代未聞の年でした。私たちが2月末の帰国を諦めてから、いったいいつ日本に帰国出来るのだろうかとじっと我慢をしていましたが、とうとう今日からは新しい年が始まります。ポルトガルでは2020年12月27日からファイザーのワクチン接種が始まりました。まず医者や看護婦さんたちが接種を受けて、1月からは各地の老人ホームで接種が始まるそうです。私たち外国人はずっと後回しになるでしょうけど、じっと待つしかありません。

 

それでは、良い新年をお迎えください。

フェリス・アノ・ノボ!!(新年に幸あれ)

 

 

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