ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

108. ホテルの口コミ評価

2014-05-31 | エッセイ

いつもの旅ならビトシと二人なので、ホテルの部屋はツインを一部屋予約すればよかったのだが、五月の旅は義兄と義妹が加わったので、別にシングルが二部屋必要だった。

ツインに比べてシングルの値段は半額になるかというと、そうではない。

ホテルによってはほとんど同じ値段の場合もあるし、田舎に行くと半額近くになることもある。

その場合、シングル用の部屋は窓が小さいか、部屋が少し狭く、裏庭に面していることが多い。

 

ネットでホテル検索をすると、南のアルガルベ地方のリゾートホテルは競争が激しく、だいたい10月から5月ごろまで大幅に値引きをしている。大抵が部屋に簡易キッチンや、本格的キッチンが付いているので、一週間や2週間以上の長期滞在には快適だ。もちろん一泊だけでもオーケー。

今回は4人なので、ファミリー用の部屋を探したが、アルガルベ地方にはいくらでもあるが、アレンテージョやリスボンなどでは見つからなかった。

 

 モンサラスの麓に広がるダム湖にはコウノトリが住んでいる

 

アレンテージョではリスボンのホテルに比べて半額近くで泊まれるし、シングルだと更に半額になる所もあった。建物は少し古いが、中はリメイクしてあって、大きなバスタブや清潔なタオルやシーツで、気持ちの良い部屋だった。しかもハムやジュースなどの朝食付き。年取ったおかみさんや、掃除の女性は典型的なアレンテージョの人で、素朴で暖かくにこやかだった。

 

 アレンテージョの城跡に咲く野の花

 

リスボンのホテルはラト広場の近くにあり、外観は大きなリッパな建物で、入り口やレセプションはモダンで堂々としていたが、1930年代の映画に出てくるようなレトロなエレベーターがあって、喜んで乗ってたどり着いた部屋は、古くてガタガタの昔のペンションそのままだった。

しかも外のクルマの騒音がひどくて堪らない。ネットで紹介していたモダンで快適そうな部屋はいったいどこにあるのだろうか~。とてもおなじホテルとは思えなかった。騒音がひどくて眠れないのでは~と心配だったが、旅の疲れでいつの間にか寝てしまった。

このホテルは駐車場が無料ということで決めたのだが、スタッフの応対も感じが良く、朝食もふつうに美味しかったので、部屋の古さは我慢するとしよう。でももう一度このホテルを選ぶかというと、考えてしまう!

 

 

ポルトガルの代表的煮込み料理「コジード・ア・ポルトゲーサ」

 

 

 

 アルコバッサ修道院の前では17世紀市の祭

 

 ナザレでは4人一緒の部屋が予約できた。以前に何回か泊まったことのあるホテルが経営する、ファミリー用のキッチン付きの部屋で、寝室が3部屋とダイニングキッチンと居間、トイレとシャワーがふたつある。キッチンには料理に必要な道具がすべて揃い、冷蔵庫や洗濯機、アイロン台や物干しも完備している。一般的な家庭のマンションの設備が整い、食料と調味料を買ってくれば、いつでも食事ができる。海岸に面しているので、海を眺めながら、ベランダの椅子に座るのも気持ちが良い。たった一晩ではもったいない、せめて数日は滞在したい部屋だった。でも南のアルガルベでは、同じ程度の設備が完備したホテルで、この時期、ナザレの3分の一の値段で泊まれるから、ナザレは値段的には高い。ナザレではリゾートホテルのようなホテル間の価格競争がまだなさそうなので、とうぶん高止まりだろう。

 

 

ナザレで泊まったアパルトメント。黄色い家の3階部分全部。

 

 

ポルトノーボの海鮮カタプラーナ。イセエビとカニが入っていたが、カニを取った後に気がついて写真を撮ったので、少し寂しい鍋。

 

 

シントラでも3ベッドルームの部屋を見つけた。世界遺産登録のシントラ宮殿のすぐ横、チボリホテルの後ろにある宿だ。夕方5時以降は宿の前に路上駐車できるということで、それまでに王宮の観光などをすませたのだが、王宮は観光客でごったがえして満員電車並みの混雑。リスボンのジェロニモス修道院もベレンの塔も団体客が押しかけてすごい人出だった。世界遺産に登録されると、こんなに違うものか~。宮殿の中で4人がはぐれそうだった。

 

 

ムーア城から見えたシントラの宮殿

 

 

ホテルの部屋は、ナザレよりも一部屋がもっと広くて、3ベッドルーム、広いダイニングキッチン、居間、バスルームが二つ、古い家の良さと現代風のモダンな家具がうまく調和している。この宿は朝食は付いていないはずなのに、パンや自家製ジャム、コーヒーメーカー、シントラの温泉水、オリーヴオイルや塩などの調味料も備えてあり、「無料ですからどうぞお使いください」とのことだった。ロカ岬からの帰り道、露店市で買ったレタスとチーズとで翌朝の食事は4人で食べても、余るほどだった。でも値段はナザレの1.5倍、アルガルベの3倍近かった。

 

 

ムーア城の北の塔から見えた南の塔とペナ城

 

 

しかし問題がひとつ。バスルームの窓際にうごめく無数の小さな虫!羽蟻だった。

潰しても潰してもどんどん出てくる。この宿はそうとう古く、しかもリメイクしても床は昔の板張り。その下にシロアリが発生しているのだ。潰しても切がないので諦めたら、ベッドカバーの上までごそごそ動き回っている。でも刺される心配はないので、虫、無視。

問題がもうひとつ。窓の外に古い屋敷が見える。18世紀か19世紀に建てられた屋敷ではないかと思えるのだが、正面の門には草が絡みつき、玄関までの前庭は手入れをした様子もなく、荒れている。人が住んでいるようには見えないが、二階の窓にかかるカーテンは半分開いている。そこから誰かがじっとこちらを見ているのではないかと、背筋が少しぞっとした。そうそうに雨戸を閉めて、足元を見ると、そこには羽蟻がごそごそと~。きゃ~、シントラは古すぎる!

 

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