クロの里山生活

愛犬クロの目を通して描く千葉の里山暮らしの日々

クセモノの気配

2014-04-23 20:14:37 | 日記
第四陣のおじいさんと子供達があわただしく帰った後、ご主人様は念のため竹薮の確認を行った。
竹薮の奥に踏み入り、はいている長靴の底で草むらを探ってみると、つま先にコツンとタケノコの頭が当たった。四方を探ってみると6本のタケノコが残存していることが判明した。
ハリキリおじいさんに刺激されたご主人様は、夕闇迫る薄暗い竹薮の中で、愛用のスコップを持ち出して一心不乱に第5陣とも言うべき最後のタケノコ達を掘り出した。

結果、この日の収穫高は合計で18+10+6=34本となった。またまた記録更新である。

さて、掘り出したタケノコは迅速に処理しなければならない。
キッチンで二つの大きなナベにお湯を沸かし、そこに皮をむいて二つに割ったタケノコを次々と投入し、更にヌカを入れてアク抜きをする。
ゆでた後は、沸騰したナベの熱が冷めるまでタケノコ達をその中に入れておき、十分にアクをとる。

こうしてできた「ゆでタケノコ」を、キッチンの床に敷いた新聞紙の上に並べて水分を取る。

このようにして午後10時過ぎ、ようやくタケノコ処理が完了した。後は一晩おいてから冷蔵庫に入れて保存すればよい。

「やれやれようやくできたか」
と、きれいに並べたタケノコ君たちを、ご主人様は満足げにしばし眺め、キッチンの後片付けをして寝床に入った。

深夜、トイレに起きたご主人様は、ノドの乾きを覚え、水を飲むためキッチンに向かった。
何気なくキッチンの床に目をやると、きれいに並べられたタケノコが目に入った。しかしその中の一本が、その新聞紙から飛び出して床に転がっていた。
「はて、これはどうしたことか?」
と、寝ぼけた頭でご主人様は思ったのだが、眠いので深く考えることができない。飛び出したそのタケノコをそっと元にもどして、ご主人様はフラフラと寝床へもどった。

朝になった。朝食の準備のためキッチンに向かったご主人様は、床をみてハッとした。タケノコがまた一本、新聞紙から飛び出しているではないか。これはなんとしたことか。タケノコがかってに飛び出すわけがない。
飛び出したタケノコを注意して見てみると、一部が何かで削られたような痕跡がある。何者かがかじった気配である。

このような事態は初めてである。果たして何者がこのタケノコを引きずり出し、そしてかじったのであろうか?
人間様にとって、姿を見せないクセモノほど不気味な存在はない。

最近では都会の住宅地でもアライグマ被害が出ていると聞く。この里山の屋敷もついにアライグマに侵略されてしまったか
と、心配性のご主人様はにわかにうろたえ始めたのだった。


コメント
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