クロの里山生活

愛犬クロの目を通して描く千葉の里山暮らしの日々

頼朝伝説ー3

2014-04-27 21:49:28 | 日記
地主の気配りのある応接に気分を良くした頼朝は、その地主の屋敷に1週間ほど滞在した。そして夕食が終わると、毎晩サクラと褥(しとね)を共にした。
頼朝は、若い弾むような乳房をいとおしむように優しくまさぐった。戦国の世にあって、明日をも知れぬ我が命が、そのひと時だけは「生きている」と実感できた瞬間であった。

旅立ちの朝、馬上の人となった頼朝は、里山の山桜を眺めながら一首詠んだ。
「『葉桜(はざくら)が、目にまぶしくも、君が里』  サクラ、さらばじゃ!」
膝から崩れ落ちそうになるサクラを、父が必死に抱きかかえた。

それから一ヵ月後、地主の屋敷で急に結婚披露宴が行われた。
花嫁はサクラ、花婿は小作人頭の次男坊の松吉である。松吉は真面目で働き者と村でも評判の若者であった。
そしてその9ヵ月後、サクラは玉のような元気な男の子を生んだ。


ご主人様はそんな夢をまたみたようである。朝の散歩の時に、遠くの山々を眺めながらそんな話を拙者にした。

しかしそのような事が起こった可能性は十分あると拙者には考えられる。
義経伝説にもそれに似た話が残っている。
従って、頼朝の落とし子の末裔が、人知れず生きているという話はまんざら荒唐無稽ではない。
ひょっとすると、あなたの隣人がその血筋の人かもしれない。

しかし、一番可能性が高いのは、この里山の村である。












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頼朝伝説ー2

2014-04-27 06:19:05 | 日記
この里山の洞窟に一人の仙人が住んでいる。
彼は頼朝の落とし子の末裔と言われ、神秘的な能力を持っている。
滝の不動尊で3年に及ぶ滝行をし、その後高宕山の観音堂に5年間こもって仏典を読破し、そして一心不乱に観音様に祈願した。8年後、その男は超人的なパワーを会得して仙人となった。難病も当然治すことができる。
その方法とは、病人のその患部に右手をかざし、左手を自身の胸に置く。そして静かに呪文を唱える。やがて仙人の両の手が朱色に染まり、病人の黒ずんだ患部も同様に朱色に変わり始める。唱える呪文の声は洞窟に次第に大きく響き、最後は「エイ!」と裂ぱくの気合と共に、組まれた仙人の両手が天上指す。世にも不思議な神秘的祈祷治療はこのようにして終わる。
この仙人が治せない病気はないという。

ご主人様はそんな夢を昨晩みたらしい。朝の散歩の時に興奮しながらそんな話を拙者にしていた。

しかし、それにしても・・・・と、ご主人様は考えている。
時の英雄になりつつあった源氏の棟梁の頼朝がこの村に来たのである。ただで済むはずがない。村の者達は色めきたったであろう。地主は
「さぞお疲れでございましょう。是非、今夕は拙宅でお食事を・・・・」
と、側近の家来に申し出たであろう。
地主は、できる精一杯のおもてなしをしようと一生懸命になった。食事にはお酒はつきもの、そして・・・・・。
地主には3人の美しい姉妹がいた。長女はその時はすでに隣村の地主の家に嫁入りしていたが、次女は18才、三女は16才。二人とも今がまさに花も恥らう娘盛りの時であった。

こんなチャンスは二度とない。我が娘のどちらかを頼朝様のお側に・・・・・。そうでなければ、ご先祖様に申し訳ない。
地主は奥方と相談し、次女の桜にその大役を任せることとした。

続く・・・・。

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