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羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

うしおととら 5

2015-10-31 20:18:59 | 日記
傍の麻子にそう訴える潮。「何で、こんなことに」歩み寄りながら、泣く麻子。「あんたはバカで、考え無しで、落ち着きなくって、喧嘩っ早いよ」潮の頬に触れる麻子。「だけどさぁ、あたし、あの潮がいいよぉ。だから、帰ってきてよっ」麻子は潮の髪を梳った。
しかし、洞の奥の白面の者の欠片の気配に引かれた潮は獣の目に戻り、麻子を無視して奇声を上げて洞の方へ向き直った。「白面の者ォオッ!! そこかぁっ! この、獣の槍がぁあ!! 滅ぼしてくれるわぁあああッ!!!」洞へ突進しようとする潮。「潮ぉーっ!!!」麻子は潮に飛び付き、そのまま二人で崖へ飛び出してゆく麻子。「麻子ぉっ!」悲鳴を上げる真由子。(オイ、コラァ! 勝手にくたばんじゃねぇっ!)槍に貫かれたダメージで素早く対応ができず「ワシが喰うんだぞォーっ!!」吠えるとら。
(ごめんね、潮。でも一人じゃないからね!)子供の頃、乱暴だが上級生に強引に遊び場を取られそうになった時、ボロボロになりながら一人で上級生を撃退してくれた潮。(本当はね、ちょっと嬉しかったんだぞ?)潮に抱き付いたまま落下してゆく麻子。(潮。私ね、私、本当にあんたが)獣の潮を抱き締める麻子。潮の表情が動いた。落下しながら、獣の石の目が砕け、内から潮が戻る! そのまま二人は崖下に落下した。
ヒョウの呪符が弾け飛んだ、婢妖が溢れ、薄原中央の一同に迫ってくる。その瞬間、獣の槍が、婢妖群を一閃した。切り裂かれた線は爆発するように周囲に迫った最前の婢妖達を滅した。潮だった。唖然とするとらとイズナ。喜ぶ真由子。潮は変化はしているが、目は澄んでいた。「潮っ!」呼ぶとら。潮は気絶した麻子を薄原にそっと置いた。「とら、来いっ!」婢妖群は更に迫っていた。「人間に戻っただとぉッ?!」戸惑っている婢妖達。潮はとらの背に乗った。「蹴散らせ!」
     6に続く

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