「気を付けてね」真由子から櫛を受け取った勇は「握手してくれる?」麻子と握手をした。「全部終わったら、皆で一晩中騒ごうねっ!」麻子にそう言われ、勇は崩れかける橋へと走っていった。(パパ、私に命の恩人を助けさせてね)着くと、橋でクラウチングスタートの構えを取る勇。(檜山勇、テイクオフっ!)櫛をくわえ、日輪と純の結界に縛られた潮に走り出した。勇が駆けた後ろで橋が崩れてゆく。「次の子が来るッ!」結界を解くタイミングを計る日輪、純も構える。結界を、解いた!「蒼月君ッ!!」叫ぶ勇、背後で崩れる橋。勇は潮の髪を一房、梳った。橋の中央は全て崩落した。潮の顔や半身が、一瞬元に戻る。
(婢妖めっ! これでは私はともかく、他の者は一時間と持つまい!!)婢妖群を結界で抑える紫暮は焦っていた。
「ヒィィーッ!!」潮は再び槍に引き込まれ、奇声を上げて森の中へ跳び去って行った。「真由子さーん! 麻子さーん! 後はお願いっ!!」崩れた橋の対岸に呼び掛ける勇。二人は頷き合って川に降りて行ったが、傍のとらは(ワシは何なってるんだろねぇっ、潮を人間に戻すのはやめて、あの女でも喰ってぇ)「おいっ、アレ見ろよ!」「ああ?」イズナに促されて川の方を見るとら。壊れた橋の板を伝って、真由子が先頭を歩くが足元が覚束ない。「ああっ、ああ?!」川に落ちそうな真由子。「この、たわけっ!」クレーンゲームの様に真由子の頭を摘まんで持ち上げるとら。
「川に落ちてばっちくなったら味が落ちるだろ?!」摘まんだまま、怒鳴るとらを平然と見る首が頑丈な真由子。ここで「とら君! 前に助けて貰ったよね? 遅くなったけど、どうもありがとうっ!」麻子が頭を下げてきた。「ケッ、筋合いじゃねーやっ」(さ、この女を喰ってズラかるかぁ)食べようとすると真由子はすとん、ととらの手から落ち、着地して
2に続く
(婢妖めっ! これでは私はともかく、他の者は一時間と持つまい!!)婢妖群を結界で抑える紫暮は焦っていた。
「ヒィィーッ!!」潮は再び槍に引き込まれ、奇声を上げて森の中へ跳び去って行った。「真由子さーん! 麻子さーん! 後はお願いっ!!」崩れた橋の対岸に呼び掛ける勇。二人は頷き合って川に降りて行ったが、傍のとらは(ワシは何なってるんだろねぇっ、潮を人間に戻すのはやめて、あの女でも喰ってぇ)「おいっ、アレ見ろよ!」「ああ?」イズナに促されて川の方を見るとら。壊れた橋の板を伝って、真由子が先頭を歩くが足元が覚束ない。「ああっ、ああ?!」川に落ちそうな真由子。「この、たわけっ!」クレーンゲームの様に真由子の頭を摘まんで持ち上げるとら。
「川に落ちてばっちくなったら味が落ちるだろ?!」摘まんだまま、怒鳴るとらを平然と見る首が頑丈な真由子。ここで「とら君! 前に助けて貰ったよね? 遅くなったけど、どうもありがとうっ!」麻子が頭を下げてきた。「ケッ、筋合いじゃねーやっ」(さ、この女を喰ってズラかるかぁ)食べようとすると真由子はすとん、ととらの手から落ち、着地して
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