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羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

とと姉ちゃん

2016-05-12 19:04:13 | 日記
 杉野は常子が生まれてすぐに出張で東京に来た際、竹蔵と青柳商店の滝子を訪ねていたという。竹蔵は君子と滝子の和解を願っていたがその時はすぐに滝子に追い返されてしまった。それでも竹蔵は月に一度、浜松に帰っから家族の日々の暮らしを綴って、亡くなるまで欠かさず手紙を送り続けていたという。「ととが、かかとお婆様の中を取り持とうと」鞠子は竹蔵の思いに感じ入っていたが「まさかまた、喧嘩別れしているとはねぇ」杉野は現状を残念がった。
 いても立ってもいられなくなった常子は杉野と話していた食堂を飛び出した。「ごめん下さいっ」青柳商店に来た常子は滝子の前に進み出た。「帰りな」滝子は拒絶したが常子は下がらず、傍の隈井も動かない。「清っ!」様子を伺っていた清に常子を連れ出すように命ずる滝子。戸惑いながら清が連れ出そうとすると常子は土間に膝をついた。「おいーっ?!」驚き困る清。「お話しさせて頂くまで、ここを一歩も動きませんっ」滝子はやむを得ず、隈井に常子を奥に案内させた。
 滝子と向かい合った常子は君子との話し合が叶わないならせめて妹達の学費だけは払ってほしいと頼み、自分は女学校を辞めて働くと言い出した。「可愛い孫が頭を下げてるんですよっ!」隈井もしゃしゃり出てきた。隈井は常子と清の縁談の事を切り出した。
 事情を知った常子は自分の為に、と嬉し泣きしたり、かと思えば悲しくて泣き出したりして「忙しい子だねぇ」と滝子を呆れさせた。「私を、憎いと思わないのかい?」続けてそう問う滝子に「感謝こそすれ、憎む訳ないじゃないですか」と常子が答えると、滝子は竹蔵からの手紙を取り出して見せ、「君子に、届けておくれ。そして伝えてほしいんだがね」と常子に語り出した。
 その話を聞いた常子は竹蔵の手紙の入った木箱を抱え、森田屋へ走ってゆくのだった。
・・・君子、世話かかるねぇ。

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