昨日は小島周二先生の研究室にお邪魔して
先日の講演で手に入らなかった資料も含め
色々教えてもらってきました
で、講演の中で話していた、放射線に対する免疫機能について
これは一般の人達に是非知ってほしいなと思い、記事にすることにしました
PDFを希望された方には追加でお送りした資料、
14~17ページに書いてありますので、その資料に沿って説明したいと思います
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●放射線の生体に対する影響について
放射線が人体に照射されると、ヒドロキシラジカル(OH-)が発生する
ヒドロキシラジカルは活性酸素の一つで、人体に酸化ストレスを与え
様々な病気を起こす
一方、人間には活性酸素に対する防護(抗酸化)機構が存在する
●活性酸素に対する防護(抗酸化)機構
活性酸素が生体内に入ると以下のような過程で生体反応が起こる
①活性酸素(ROS:reactive oxygen species)が生体内に発生する
↓(A)
②フリーラジカルや、二次的な別の活性酸素を発生させる
↓(B)
③フリーラジカルや二次的な活性酸素は、生体高分子を傷害する
↓(C)
④以上の過程の結果、細胞や組織が傷害を受け、ガンや動脈硬化などの病気が発生する
以上の活性酸素の攻撃に対して、上記の(↓)の部分で
生体は以下の防護因子(物質)で抑制しようとする
①→②:(A)SOD、GPx、CATなどの予防的抗酸化物(抗酸化酵素)
②→③:(B)グルタチオン、ビタミンCなどの補足型抗酸化物(抗酸化剤)
③→④:(C)プロテアーゼ、DNA修復酵素などの修復・再生型抗酸化物
(修復酵素)
つまり、以上の3種類の防護因子の働きで抑制できなかった場合に
ガンなどの疾病が発生する
●ヒドロキシラジカルによる遺伝子(DNA)・細胞への攻撃
DNAは塩基の二重ラセン構造であるが、
放射線によってこのラセン部分が傷害を受ける
ただし、放射線の種類により、障害の程度が違う
アルファ線や中性子線のような粒子の大きな放射線は
高LET放射線と呼ばれ、エネルギーが大きいため、ダメージが大きく
DNAの二本のラセン構造の二本とも直接傷害を与える
(高LET放射線の直接作用)
しかし生体はこれに対する防護因子を持ち、
エンドヌクレアーゼ、DNA修復酵素が傷害を受けたDNAを修復する
他方、ベータ線、ガンマ線、エックス線のような、粒子の小さい放射線は
低LET放射線と呼ばれ、アルファ線などと比べるとエネルギーが小さいため
DNAのラセン構造に直接傷害を与えず、
生体内のH2O(水分)からヒドロキシラジカルを発生させ
このヒドロキシラジカル(ROS)がDNAの二重ラセン構造の1本に傷害を与える
(低LET放射線の間接作用)
つまり低LET放射線の障害は、紫外線の障害と同じと言える
このROSに対して生体は、抗酸化剤や抗酸化酵素で抑制し
DNAが傷害を受けないよう防護する
なお上記③に書かれた「生体高分子の傷害」とは
ヒドロキシラジカルがDNA構成塩基に直接付加する(くっつくこと)ことや
細胞を構成する不飽和脂肪酸からH(水素)を引き抜くことである
以上が、放射線による生体の傷害メカニズム、及び防護機能である
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はぁ・・・わかりやすく書こうと思うと疲れる
放射線に対する、ヒトの身体の防衛機能をわかってもらえたかしら・・・
ん・・・今日はここまで
続く
こちらの資料は誰に見せてもいいと先生の了解を得ていますので
欲しい方は画面左上の「メッセージを送る」でメールをください
資料をお送りします
先日の講演で手に入らなかった資料も含め
色々教えてもらってきました
で、講演の中で話していた、放射線に対する免疫機能について
これは一般の人達に是非知ってほしいなと思い、記事にすることにしました
PDFを希望された方には追加でお送りした資料、
14~17ページに書いてありますので、その資料に沿って説明したいと思います
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●放射線の生体に対する影響について
放射線が人体に照射されると、ヒドロキシラジカル(OH-)が発生する
ヒドロキシラジカルは活性酸素の一つで、人体に酸化ストレスを与え
様々な病気を起こす
一方、人間には活性酸素に対する防護(抗酸化)機構が存在する
●活性酸素に対する防護(抗酸化)機構
活性酸素が生体内に入ると以下のような過程で生体反応が起こる
①活性酸素(ROS:reactive oxygen species)が生体内に発生する
↓(A)
②フリーラジカルや、二次的な別の活性酸素を発生させる
↓(B)
③フリーラジカルや二次的な活性酸素は、生体高分子を傷害する
↓(C)
④以上の過程の結果、細胞や組織が傷害を受け、ガンや動脈硬化などの病気が発生する
以上の活性酸素の攻撃に対して、上記の(↓)の部分で
生体は以下の防護因子(物質)で抑制しようとする
①→②:(A)SOD、GPx、CATなどの予防的抗酸化物(抗酸化酵素)
②→③:(B)グルタチオン、ビタミンCなどの補足型抗酸化物(抗酸化剤)
③→④:(C)プロテアーゼ、DNA修復酵素などの修復・再生型抗酸化物
(修復酵素)
つまり、以上の3種類の防護因子の働きで抑制できなかった場合に
ガンなどの疾病が発生する
●ヒドロキシラジカルによる遺伝子(DNA)・細胞への攻撃
DNAは塩基の二重ラセン構造であるが、
放射線によってこのラセン部分が傷害を受ける
ただし、放射線の種類により、障害の程度が違う
アルファ線や中性子線のような粒子の大きな放射線は
高LET放射線と呼ばれ、エネルギーが大きいため、ダメージが大きく
DNAの二本のラセン構造の二本とも直接傷害を与える
(高LET放射線の直接作用)
しかし生体はこれに対する防護因子を持ち、
エンドヌクレアーゼ、DNA修復酵素が傷害を受けたDNAを修復する
他方、ベータ線、ガンマ線、エックス線のような、粒子の小さい放射線は
低LET放射線と呼ばれ、アルファ線などと比べるとエネルギーが小さいため
DNAのラセン構造に直接傷害を与えず、
生体内のH2O(水分)からヒドロキシラジカルを発生させ
このヒドロキシラジカル(ROS)がDNAの二重ラセン構造の1本に傷害を与える
(低LET放射線の間接作用)
つまり低LET放射線の障害は、紫外線の障害と同じと言える
このROSに対して生体は、抗酸化剤や抗酸化酵素で抑制し
DNAが傷害を受けないよう防護する
なお上記③に書かれた「生体高分子の傷害」とは
ヒドロキシラジカルがDNA構成塩基に直接付加する(くっつくこと)ことや
細胞を構成する不飽和脂肪酸からH(水素)を引き抜くことである
以上が、放射線による生体の傷害メカニズム、及び防護機能である
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はぁ・・・わかりやすく書こうと思うと疲れる
放射線に対する、ヒトの身体の防衛機能をわかってもらえたかしら・・・
ん・・・今日はここまで
続く
こちらの資料は誰に見せてもいいと先生の了解を得ていますので
欲しい方は画面左上の「メッセージを送る」でメールをください
資料をお送りします