写真・三軒家紡績ストライキ(1925年)
1925年の労働争議の統計 (読書メモ)
参照 「日本労働年鑑」第7集/1926年版 大原社研編
1925年に起きた労働争議の原因の半分は資本家からの攻撃によります。失業の増大はすなわち低賃金労働者群の登場であり、雇う側として圧倒的に有利となった資本家のおごりをますます高めさせます。調子に乗った資本家は、露骨な労働者搾取の強化と攻撃をはじめます。不況を口実にした一方的大幅賃下げ、賃金不払い、不当解雇、工場閉鎖等です。次いで労働組合そのものへの攻撃が頻発します。組合員であることや組合加入を理由としての解雇攻撃も増えます。このような資本家側からの高圧的・挑戦的攻撃に対して、労働者側はどうしても守勢的・自衛的な闘いにならざるを得ませんでした。
1925年(大正14年)中に発生した労働争議件数は前年と比べ著しく減少し、総計369件(前年771件)、工業は337件(前年677件)、交通業の31件(前年62件)、官公業9件(前年15件)です。争議の場所は大阪107件、東京73件、兵庫34件、京都19件、神奈川17件、福岡15件、広島14件、愛知10件、北海道9件です。
資本家の労働争議への攻撃の主な手段は、工事閉鎖、休業、解雇ですが、解雇が一番多いです。労働者側の争議戦術は、ストライキ(197件)、サボタージュ闘争(42件)、示威行動(91件)等々です。
1925年労働争議(396件)の結果別調査
労働者有利の解決は68件
資本家有利の解決は72件
妥協 127件
労働者の敗北・不明 129件
1925年ストライキの結果別調査
要求貫徹・勝利 47件(前年66件)、スト参加労働者数10,526名(前年11,608名)
妥協 107件(前年135件)、7,915名(前年19,707名)
要求不貫徹・敗北 115件(前年132件)、12,691名(前年22,211名)
1925年の小作争議
逐年著しく増加した小作争議の理由として労働年鑑第7集は、「その特徴とするところは、従来の地主小作間の封建的主従関係を脱却し、地主の搾取に対し階級意識による反抗がその一である」と述べています。1925年に入って地主側は耕作権の獲得を目的とする法廷闘争手段をかなり多く使い、すこぶる強硬かつ攻勢的姿勢が目立ちます。
小作争議の件数
小作争議件数 1,303件
争議の地主数 19,302名
争議に参加した農民数 84,404名
小作争議の原因
小作料のその年だけの減額要求 920件
小作料の永年減額要求 299件
小作契約の継続 66件
1925年主要な小作争議*
・石生豊田小作争議(1922年発生~25年解決)
・伏石小作争議(1924年発生、25年未解決)
・佐賀県基山村争議(1924年発生、25年未解決)
・郡築小作争議(1922年・23年紛争、24年解決、25年再び争議)
・金蔵寺争議
・小坂煙害争議(秋田の鉱害反対闘争)
(*小作争議の個々の詳細紹介は後日します。)