映画「ストライキ前夜」の感想メモです。
レイバー映画祭で「ストライキ前夜」をみた。朝、猛暑の田町駅で乱鬼龍さんが一人大きなポスターを高く掲げ宣伝していた。前売り券をゆずって頂き200円も得をした。感謝。
映画をみながら最初から終わりまで大久保製壜闘争とかぶってたまらなかった。ずっと涙していた。
舞台は87年88年の鉄工場。圧巻は最後の最後の数十秒。会社の手先の若い労働者がついに工場で現場のど真ん中でバールを手に高く掲げ決起。それをみて会社側にいた全労働者も手に手に鉄具で武装し、ヤクザに襲われ倒れた民主労組の仲間たちを救おうと駆け出す瞬間に画面は止まる。
この映画は今まさに職場で苦闘し奮闘している労働者への実践学習・討議の最高の教材宝庫だ。
映画は、低賃金も長時間労働も職制のパワハラも資本の労働者搾取の中の一つとして位置付け、一貫して労働組合運動を資本家の思想・搾取と闘う労働者の思想、労働者の生き方の問題として提起している。(「要求」で闘う今の通説・流行りが果たして正しいのか)。
これを「映画」として論評したり、日本の労働運動と関係ない過去の話だと思う人は今の日本の労働者の現実と労使関係を知らなすぎる。経営者の残酷貪欲な搾取もかってな言い分も、労働者の嘆きも怒りも、今の日本の職場となんら変わらない。
日本でも戦前戦後通してヤクザを雇い労組を襲撃してくる。暴力団を雇い覚醒剤謀略犯罪で東部労組攻撃をしてきたのはこの映画の場面と同じ87年の大久保製壜。過去どころか関西生コン支部へのならず者レイシストの攻撃も今の話しだ。経営者の卑怯な労組攻撃の手口も私たちが経験する各支部でのそれの今とそっくりだ。脅しと買収の労働者分断のやり方もこの映画のままだ。
スト破りや裏切り者労働者の自己弁護の言い訳も、彼らの心の底の葛藤も同じだ。大久保製壜でも裏切り脱落した仲間が5人も復帰してきた。御用組合から青年30名が東部労組に合流し新労組を結成し翌日にはストライキだ。
<抑圧あるところ労働者は必ず立ち上がる>のだ。
まさにこの映画は、職場の労働者は必ず立ち上がる。今はその前夜なのだと、苦闘している民主労組労働者を心から励ましたいと願い作ったのだと思う。
映画が終って会場から大きな拍手が起きた。
今、立ち上がって苦闘して奮闘している全ての仲間たちに是非勧めたい。そして討議したい。
あと、労働歌「鉄の労働者」いいですね。
そうだ松原さんも「鉄の労働者」出身で倒産攻撃で激烈な闘いの経験をお持ちでしたね。「ストライキ前夜」上映企画ありがとうございました。
2019年8月4日 長崎 広