魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「14」

2017年12月05日 | 百人一首
百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「14」

※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。

和歌番号014 
作者:河原左大臣
author of waka:THE MINISTER-OF-THE-LEFT OF THE KAWARA【DISTRICT OF KYŌTO】(KAWARA NO SADAIJIN)

原文
陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに
(みちのくの しのぶもぢずり たれゆゑに みだれそめにし われならなくに)

現代訳
奥州のしのぶもじずりの乱れ模様のように、私の心も(恋のために)乱れていますが、いったい誰のためにこのように思い乱れているのでしょう。 (きっとあなたの所為に違いありません)

英訳
AH! why does love distract my thoughts,
 Disordering my will!
I'm like the pattern on the cloth
 Of Michinoku hill,—
 All in confusion still.

The old capital of Kyōto was divided into right and left districts, and the above is only an official title; the poet's name was Tōru Minamoto, and he died in the year 949. At Michinoku, in the Province of Iwashiro, in old times a kind of figured silk fabric was made, called moji-zuri, embroidered with an intricate pattern, which was formed by placing vine leaves on the material, and rubbing or beating them with a stone until the impression was left on the silk. There is a hill close by, called Mount Shinobu, and a small temple, called Shinobu Moji-zuri Kwannon. Shinobu can also mean 'a vine', 'to love', or to 'conceal (my love)'. The meaning of this very involved verse appears to be, that his thoughts are as confused with love as the vine pattern on the embroidered fabric made at Mount Michinoku. The picture seems to show the lady with whom the poet was in love.

解説
 河原左大臣(かわらのさだいじん・弘仁13年~寛平7年 / 822~895年)は源 融(みなもとのとおる)のことで、元は嵯峨天皇の皇子でしたが、皇族をはなれて源の姓を名乗りました。
 貞観十四年(872)に左大臣となり、京都六条の河原院に住んだことから、河原左大臣と呼ばれるようになりました。
 融は宇治と嵯峨に別荘を持っていましたが、宇治の邸は融がなくなった後、藤原道長の別荘となり、その子の関白・藤原頼通が寺に改めたのが平等院です。

 河原左大臣はある日恋人から届いた手紙の返事として、この和歌をつくったと言われていますが、恋に悩む心のうちが目に見えるようです。
 「しのぶもぢずり」は忍び草を用いた乱れ模様の布のことですが、これによって、心の乱れが目に見える形で詠まれていますが、結句の「我ならなくに(私のせいではなく)」によって、和歌に余情をもたせています。


★おススメ本★  

A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu
Tuttle Pub


図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化)
河出書房新社


百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! )
歌林苑


本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/

厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。

そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。

※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
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