百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「38」
※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。
和歌番号038
作者:右近
author of waka:UKON
原文
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな
(わすらるる みをばおもはず ちかひてし ひとのいのちの をしくもあるかな)
現代訳
あなたに忘れられる我が身のことは何ほどのこともありませんが、ただ神にかけて (わたしをいつまでも愛してくださると) 誓ったあなたの命が、はたして神罰を受けはしないかと、借しく思われてなりません。
英訳
MY broken heart I don't lament,
To destiny I bow;
But thou hast broken solemn oaths,—
I pray the Gods may now
Absolve thee from thy vow.
The Lady Ukon is supposed to have been deserted by her husband, and in this poem she regrets, not so much her own sorrow, as the fact that he has broken his sworn oath, and is therefore in danger of divine vengeance. The illustration shows her all alone at the gate, with the house in the background, evidently waiting for the husband who has forsaken her.
解説
右近(うこん・生没年不明)は平安時代の中頃の女流歌人で、右近少将・藤原季蝿の娘です。
父の官職の名から右近とよばれ、醍醐天皇の后・穏子に仕えていました。
内裏歌合などでも和歌を詠んだと伝えられていて、「後撰和歌集」、「拾遺和歌集」、「新勅撰和歌集」などに歌が残されています。
また、「大和物語」には、藤原敦忠、藤原師輔、藤原朝忠、源順(みなもとのしたごう)などとの恋愛が取り上げられていて、恋多き女性だったとも伝えられています。
右近は藤原敦忠と愛し合っていましたが、敦忠が他の女性に心を動かしているという噂を耳にしたときに、この和歌を詠んだと言われています。
相手が神罰を受けないかと、敦忠への想いが断ち切れない、切ない恋心が伝わってくる歌です。
★おススメ本★
本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/
厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。
そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。
※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。
和歌番号038
作者:右近
author of waka:UKON
原文
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな
(わすらるる みをばおもはず ちかひてし ひとのいのちの をしくもあるかな)
現代訳
あなたに忘れられる我が身のことは何ほどのこともありませんが、ただ神にかけて (わたしをいつまでも愛してくださると) 誓ったあなたの命が、はたして神罰を受けはしないかと、借しく思われてなりません。
英訳
MY broken heart I don't lament,
To destiny I bow;
But thou hast broken solemn oaths,—
I pray the Gods may now
Absolve thee from thy vow.
The Lady Ukon is supposed to have been deserted by her husband, and in this poem she regrets, not so much her own sorrow, as the fact that he has broken his sworn oath, and is therefore in danger of divine vengeance. The illustration shows her all alone at the gate, with the house in the background, evidently waiting for the husband who has forsaken her.
解説
右近(うこん・生没年不明)は平安時代の中頃の女流歌人で、右近少将・藤原季蝿の娘です。
父の官職の名から右近とよばれ、醍醐天皇の后・穏子に仕えていました。
内裏歌合などでも和歌を詠んだと伝えられていて、「後撰和歌集」、「拾遺和歌集」、「新勅撰和歌集」などに歌が残されています。
また、「大和物語」には、藤原敦忠、藤原師輔、藤原朝忠、源順(みなもとのしたごう)などとの恋愛が取り上げられていて、恋多き女性だったとも伝えられています。
右近は藤原敦忠と愛し合っていましたが、敦忠が他の女性に心を動かしているという噂を耳にしたときに、この和歌を詠んだと言われています。
相手が神罰を受けないかと、敦忠への想いが断ち切れない、切ない恋心が伝わってくる歌です。
★おススメ本★
A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu | |
Tuttle Pub |
図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化) | |
河出書房新社 |
百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! ) | |
歌林苑 |
本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/
厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。
そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。
※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!