魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「32」

2017年12月23日 | 百人一首
百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「32」

※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。

和歌番号032 
作者:春道列樹
author of waka:KORENORI SAKA-NO-UYE(SAKA-NO-UYE NO KORENORI)

原文
山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり
(やまがはに かぜのかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり)

現代訳
山あいの谷川に、風が架け渡したなんとも美しい柵があったのだが、それは (吹き散らされたままに) 流れきれずにいる紅葉であったではないか。

英訳
SURELY the morning moon, I thought,
 Has bathed the hill in light
But, no; I see it is the snow
 That, falling in the night,
 Has made Yoshino white.

Little is known about this poet, but he is said to have lived some time in the tenth century. Yoshino is a mountain village in the Province of Yamato, famous for its cherry blossoms; at one time it contained the Imperial Summer Palace. In the illustration we see the poet looking across at the village on the hills all covered with snow.

解説
 春道列樹(はるみちのつらき・生年不明~延喜20年 /?~920年)は醍醐天皇の頃の歌人で、従五位下雅楽頭・新名宿禰の子どもです。
 春道列樹は延喜二十年(920年)壱岐守に任ぜられましたが、出発する前に亡くなったと伝えられています。
 しかし、「古今集」や「後撰集」などにいくつかの春道列樹の和歌が残っています。

 この和歌は、列樹が比叡山のふもとを都から近江へと行く途中に詠まれたものだと言われていますが、自然がつくる造形の美しさへの驚きが表れています。
 「山川」は「かまがわ」と読み、山間を流れる小川のことで、「やまかわ」と読むと「山と川」ということになります。
 この小川に散り敷いている紅葉を柵(しがらみ)に見立て、風が掛け渡したのだと、風情ある表現がされています。




★おススメ本★  

A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu
Tuttle Pub


図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化)
河出書房新社


百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! )
歌林苑


本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/

厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。

そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。

※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
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