魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「21」

2017年12月12日 | 百人一首
百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「21」

※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。

和歌番号021 
作者:素性法師
author of waka:THE PRIEST SOSEI(SOSEI HŌSHI)

原文
今来むと いひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな
(いまこむと いひしばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな)

現代訳
「今すぐに行きましょう」とあなたがおっしゃったので、(その言葉を信じて) 九月の長い夜を待っていましたが、とうとう有明の月が出る頃を迎えてしまいました。

英訳
THE moon that shone the whole night through
 This autumn morn I see,
As here I wait thy well-known step,
 For thou didst promise me—
 'I'll surely come to thee.'

Sosei is supposed to have been the son of Bishop Henjō, the writer of verse No. 12, born before the latter entered the church, about the year 850. His name as a layman was Hiro-nobu Yoshi-mine, and he became abbot of the Monastery of Riyau-inwin at Isono-kami, in the Province of Yamato.

解説
 素性法師(そせいほうし/生没年不明)は僧正遍昭の子どもで、俗名を良岑玄利(よしみねのはるとし)といいます。
 清和天皇に仕え、左近将監になりましたが、父の勧めによって出家しました。
 京都の雲林院に住んでいましたが、寛平八年(896年) 宇多天皇の雲林院行幸のとき、権律師に任ぜられました。
 素性法師は藤原公任の選んだ三十六歌仙の一人として数えられている素晴らしい歌人ですが、書家としても優れていたと伝えられています。

 この和歌は恋の和歌で、せつない恋心がよく伝わってきますが、素性法師は、女性の立場になってこの歌を詠んでいます。
 「今来むと」とは「すぐに来る」という意味ですが、この頃は男性が女性の元へ通うのが普通でしたから、男性の立場なら「今行く」と詠まれるように思います。
 しかし、当時は女性の立場になって歌を詠むことも、和歌の遊びとして楽しまれていたようで、この歌も、そのような立場で詠まれています。




★おススメ本★  

A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu
Tuttle Pub


図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化)
河出書房新社


百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! )
歌林苑


本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/

厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。

そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。

※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする