魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「29」

2017年12月20日 | 百人一首
百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「29」

※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。

和歌番号029 
作者:凡河内躬恒
author of waka:MITSUNE ŌSHI-KŌCHI(ŌSHI-KŌCHI NO MITSUNE)

原文
心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花
(こころあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな)

現代訳
無造作に折ろうとすれば、果たして折れるだろうか。一面に降りた初霜の白さに、いずれが霜か白菊の花か見分けもつかないほどなのに。

英訳
IT was a white chrysanthemum
 I came to take away;
But, which are coloured, which are white,
 I'm half afraid to say,
 So thick the frost to-day!

Mitsune lived some time in the beginning of the tenth century, and was one of the compilers of Odes Ancient and Modern (the Kokinshiu). The illustration shows him with a boy in attendance, trying to make up his mind which flower he will pick.

解説
 凡河内躬恒(おおしこうちのみつね / 生没不明)は平安時代前期の人で、寛平、延喜・延長の頃の人と言われています。
 歌人としては紀貫之と並ぶほどで、『古今集』の選者のひとりでもあるほか、藤原公任が選んでいる三十六歌仙の一人でもあります。
 延喜十一年(911年)に和泉の権掾六位となりましたが、詳しいことは伝えられていません。
 しかし、凡河内躬恒の和歌は、勅撰和歌集に200首近くが伝えられていて、特に叙景歌に優れていました。

 凡河内躬恒が和歌のつくりり方を弟子達に教えていた時、庭に咲いている白菊に霜が降りているのを想像して、この和歌をつくってみせたと伝えられていますが、その景色が目に見えるようです。
 実際には、霜と白菊とを見間違うことはないでしょうが、見た感じを巧みに表現していて、白一面の透き通るような情景が感じられます。




★おススメ本★  

A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu
Tuttle Pub


図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化)
河出書房新社


百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! )
歌林苑


本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/

厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。

そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。

※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
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