魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「27」

2017年12月18日 | 百人一首
百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「27」

※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。

和歌番号027 
作者:中納言兼輔
author of waka:THE IMPERIAL ADVISER KANESUKE(CHŪ-NAGON KANESUKE)

原文
みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見きとてか 恋しかるらむ
(みかのはら わきてながるる いづみがは いつみきとてか こひしかるらむ)

現代訳
みかの原を湧き出て流れる泉川よ、(その「いつ」という言葉ではないが) その人をいつ見たといっては、恋しく思ってしまう。本当は一度たりとも見たこともないのに。

英訳
OH! rippling River Izumi,
 That flows through Mika plain,
Why should the maid I saw but now
 And soon shall see again
 Torment my love-sick brain?

Kanesuke was a member of the Fujiwara family; he died in the year 933. The River Izumi is in the Province of Yamashiro.

The word-plays in this verse are—Izumi, in the third line, which is imitated in the next line, and Mika, which is also repeated in the third line. The first three lines of this verse, about the river flowing through the plain, form a 'preface', and appear to be inserted merely because itsu miki (when I have seen her) sounds like Izumi.

解説
 中納言兼輔(ちゅうなごんかねすけ・元慶元年~承平3年 /877~933年)は藤原兼輔(ふじわらのかねすけ)のことで、屋敷が賀茂川の堤にあったことから、堤中納言ともよばれました。
 平安初期の歌人で、藤原冬嗣の孫で、利基の六男にあたります。
 延長八年に中納言となり、 和歌にすぐれ、紀貫之などの歌人とも 親しく交際するなど、藤原公任が選んだ三十六歌仙のひとりでもあります。
 中納言兼輔の和歌は、勅撰和歌集などに数多く伝えられています。

 都で若狭守の姫の噂がしきりとされていた頃、兼輔もその噂を聞いて「是非とも会ってみたい」と思い、この和歌が詠まれたと言われています。
 「いづみ川」を「いつ見」にかけているなど、巧みなつくりになっていますが、水が沸き出て流れる様子を詠むことによって、恋心が強くなっていくことをうまく表しています。




★おススメ本★  

A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu
Tuttle Pub


図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化)
河出書房新社


百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! )
歌林苑


本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/

厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。

そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。

※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
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