百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「24」
※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。
和歌番号024
作者:菅家
author of waka:KWAN-KE
原文
このたびは ぬさもとりあへず 手向山 紅葉のにしき 神のまにまに
(このたびは ぬさもとりあへず たむけやま もみぢのにしき かみのまにまに)
現代訳
今度の旅は急いで発ちましたので、捧げるぬさを用意することも出来ませんでした。しかし、この手向山の美しい紅葉をぬさとして捧げますので、どうかお心のままにお受け取りください。
英訳
I BRING no prayers on coloured silk
To deck thy shrine to-day,
But take instead these maple leaves,
That grow at Tamuké;
Finer than silk are they.
The name given above means 'A house of rushes' but the poet's real name was Michizane Sugawara; he was a great minister in the Emperor Uda's reign and a learned scholar; his works comprise twelve books of poetry and two hundred volumes of history; he was degraded in A.D. 901, and died two years later, an exile in Kinshū, aged fifty-nine. He is worshipped as Tenjin Sama, the God of Calligraphy, and is a favourite deity with schoolboys.
Nusa are strips of coloured silk or cloth inscribed with prayers, which were presented at temples in the old days. Tamuke-yama no Hachiman, a temple at Nara, is the scene of this verse; it is famous for its maple leaves, and the poet intended to say, that the crimson colour of its own maples was finer than any brocade that he could offer. Another allusion is, that Tamuke-yama, near Nara, means 'The Hill of Offerings'.
解説
菅家(かんけ・承和12年~延喜3年 / 845~903年)とは菅原道真(すがわら の みちざね / みちまさ )を尊敬したよび方です。
道真は平安初期の公卿でありましたが、漢学者であり政治家としても活躍しました。
宇多・醍醐の両天皇に信頼され、元慶元年、文章博士となり、後に右大臣になりましたが、左大臣藤原時平たちの讒言により、大宰権師に左遷され、延喜三年、九州の地で亡くなりました。
この和歌は898年の秋、道真が宇多上皇のお供して吉野へ行く途中、一行が道祖神への供え物を忘れてきたことに気づき、その時に詠んだ和歌だと伝えられています。
機知に富んでいるだけでなく、さわやかな気持ちとその雄大さが感じられる和歌になっていますが、つくりも巧みで、「このたびは」は、「この度」と「この旅」がかかっていて、「手向山」も「手向ける」という言葉をかけています。
★おススメ本★
本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/
厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。
そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。
※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。
和歌番号024
作者:菅家
author of waka:KWAN-KE
原文
このたびは ぬさもとりあへず 手向山 紅葉のにしき 神のまにまに
(このたびは ぬさもとりあへず たむけやま もみぢのにしき かみのまにまに)
現代訳
今度の旅は急いで発ちましたので、捧げるぬさを用意することも出来ませんでした。しかし、この手向山の美しい紅葉をぬさとして捧げますので、どうかお心のままにお受け取りください。
英訳
I BRING no prayers on coloured silk
To deck thy shrine to-day,
But take instead these maple leaves,
That grow at Tamuké;
Finer than silk are they.
The name given above means 'A house of rushes' but the poet's real name was Michizane Sugawara; he was a great minister in the Emperor Uda's reign and a learned scholar; his works comprise twelve books of poetry and two hundred volumes of history; he was degraded in A.D. 901, and died two years later, an exile in Kinshū, aged fifty-nine. He is worshipped as Tenjin Sama, the God of Calligraphy, and is a favourite deity with schoolboys.
Nusa are strips of coloured silk or cloth inscribed with prayers, which were presented at temples in the old days. Tamuke-yama no Hachiman, a temple at Nara, is the scene of this verse; it is famous for its maple leaves, and the poet intended to say, that the crimson colour of its own maples was finer than any brocade that he could offer. Another allusion is, that Tamuke-yama, near Nara, means 'The Hill of Offerings'.
解説
菅家(かんけ・承和12年~延喜3年 / 845~903年)とは菅原道真(すがわら の みちざね / みちまさ )を尊敬したよび方です。
道真は平安初期の公卿でありましたが、漢学者であり政治家としても活躍しました。
宇多・醍醐の両天皇に信頼され、元慶元年、文章博士となり、後に右大臣になりましたが、左大臣藤原時平たちの讒言により、大宰権師に左遷され、延喜三年、九州の地で亡くなりました。
この和歌は898年の秋、道真が宇多上皇のお供して吉野へ行く途中、一行が道祖神への供え物を忘れてきたことに気づき、その時に詠んだ和歌だと伝えられています。
機知に富んでいるだけでなく、さわやかな気持ちとその雄大さが感じられる和歌になっていますが、つくりも巧みで、「このたびは」は、「この度」と「この旅」がかかっていて、「手向山」も「手向ける」という言葉をかけています。
★おススメ本★
A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu | |
Tuttle Pub |
図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化) | |
河出書房新社 |
百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! ) | |
歌林苑 |
本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/
厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。
そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。
※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!