魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「23」

2017年12月14日 | 百人一首
百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「23」

※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。

和歌番号023 
作者:大江千里
author of waka:CHISATO ŌYE(ŌYE NO CHISATO)

原文
月見れば ちぢに物こそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど
(つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど)

現代訳
秋の月を眺めてていると、様々と思い起こされ物悲しいことです。秋はわたしひとりだけにやって来たのではないのですが。

英訳
THIS night the cheerless autumn moon
 Doth all my mind enthrall;
But others also have their griefs,
 For autumn on us all
 Hath cast her gloomy pall.

Chisato Ōye is said to have lived about the end of the ninth century; he was the son of a Councillor, and a very fertile poet. He was also famous as a philosopher, and acted as tutor to the Emperor Sei-wa, who reigned A.D. 859-876.

解説
 大江千里(おおえのちさと/生没年不明)は平安時代初期、宇多天皇の頃の漢学者で、参議・大江音人の子どもです。
 歌人として有名な在原業平、行平は大江千里の叔父にあたるといわれています。

 元慶三年・兵部大丞になっていますが、師の菅原是善と共に「貞観格式」を共撰したりしています。
 また、大江千里の和歌は「古今和歌集」に10首、勅撰和歌集などに25首が伝わっているほか、寛平6年、自分の歌を集めた「句題和歌(大江千里集)」を宇多天皇に献上しています。

 この和歌は自然の情景を詠んだものですが、秋の夜のもの寂しさがとてもよく伝わってきます。
 「月」と「わが身」、「ちぢ(千々)」と「ひとつ」を対比させているつくりも巧みで、秋を代表する和歌として、長く親しまれている歌のひとつです。




★おススメ本★  

A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu
Tuttle Pub


図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化)
河出書房新社


百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! )
歌林苑


本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/

厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。

そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。

※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
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