魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「28」

2017年12月19日 | 百人一首
百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「28」

※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。

和歌番号028 
作者:源宗于朝臣
author of waka:THE MINISTER MUNE-YUKI MINAMOTO(MINAMOTO NO MUNE-YUKI ASON)

原文
山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば
(やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへば)

現代訳
山里はいつの季節でも寂しいが、冬はとりわけ寂しく感じられる。尋ねてくれる人も途絶え、慰めの草も枯れてしまうのだと思うと。

英訳
THE mountain village solitude
 In winter time I dread;
It seems as if, when friends are gone,
 And trees their leaves have shed,
 All men and plants are dead.

The poet was a grandson of the Emperor Kwōkō, and died A.D. 940. The Minamoto family, who sprang from the Emperor Seiwa, who reigned 856-877, was at one time very powerful, and produced many famous men, including Yoritomo, the great founder of the Shōgunate. The Taira family and the Minamotos were the Yorks and Lancasters of mediaeval Japan; but, after thirty years of warfare, Yoritomo finally defeated his rivals in a great battle fought at Dan-no-ura, in the Straits of Shimonoseki, in 1185; the entire Taira family was exterminated, including women and children, and the infant Emperor Antoku. The Minamoto clan themselves became extinct in 1219, when Sanetomo was murdered at Kamakura, as related in the note to verse No. 93.

解説
 源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん・生年不明~天慶2年 / ?~939年)は、光孝天皇の皇子・是忠親王の子どもで、寛平六年に皇族を離れ源姓を賜わりました。
 三河、相模、信濃、伊勢などの国司を歴任し、天慶2年(939年)、正四位下右京大夫となりました。
 源宗于朝臣は三十六歌仙のひとりとして藤原公任が挙げている優れた歌人でもあり、『古今集』などに和歌が残されています。

 この和歌は、山里で暮らす宗于が都の友達を思ってつくられた和歌だと言われていますが、実際は、山里の暮らしを想って詠んだとも言われています。
 また、「山里」は「別荘」を指すこともありますが、「かれぬ」には「枯れる」と「離れる」がかかっていて、人を恋しく思う気持ちがよく伝わってくる和歌になっています。




★おススメ本★  

A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu
Tuttle Pub


図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化)
河出書房新社


百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! )
歌林苑


本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/

厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。

そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。

※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
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