向かい合えば
左右が逆になるように
違うものが見えている事
気付かないはずはない
けれど
お互い自分側が正しいと思い
見つめる相手にもそれを願う
それぞれの背景が
自分からは良く見えるので
相手の事は分かったつもりになる
後ろに背負った背景は
ためらう事なくそこにいる
存在以上の思いやりが
風に流され吐息に溶けて
違う方向へ向かったとしても
体温の届く範囲なら
包み込んだまま
渡せればいいのに
三日坊主ではなく
いちにちも持たなかった時
弱々の意志を
いったん棚に上げて
身軽になったつもりで
次の段を目指す
足場は少し広くしようか
段差はゆるやかがいいかな
甘やかすなと人は言う
自分に厳しくとも思うけど
先の見えない一本道は
平らに見えてもデコボコで
曲がりくねった上り坂
階段があればいい方で
誰も通らぬひとり道
行き先を決めるのは自分
目標を決めるのも自分
ふしあなから見れば
ピントが合うと言うので
のぞいてみたけれど
見る能力のない節穴が
その意味を発揮した
片目をつぶった方がいい時
滲む涙が助けてくれる時
すべてを閉じてしまいたい時
考えても仕方ないのに
悩んでも解決しないのに
なぜか戻りたがる根性
いちにちの上下が
幅を変えて速度を変えて
上手く進んでいる以上
まだ大丈夫
明日も動ける
空模様を予測できるように
わかることがある
あたたかな生活空間を
懐かしむように低く飛ぶか
そこから飛び出して
振り切るように高く飛ぶか
休むために家に入り
目指すために道を行く
苦しくても次のために
声にならない息づかいで
温もりの中羽を休めて
ゆるい吐息で言葉を綴る
おだやかな高さのままで
平行に飛ぶ姿を見た
あっきれいだなって
描くことはできないけど
染める色は見つからないけど
目に映る空色が
心に落ちる瞬間が
なぜか脳裏に残る時
悩むもやはなくなって
考える迷路がつながって
なぜかストンと落ち着いた
今日の約束を反復し
忘れないよう心に刻み
次の時間が待ち遠しくなる
空の色は違っていても
心の中は違っていても
それが普通それが当たり前
だからいつだって向き合える