
メリー・ポピンズ リターンズ
≪ 解 説 ≫
アカデミー賞5部門に輝いた1964年公開の名作ディズニー映画「メリー・ポピンズ」の20年後を描いた続編。大恐慌時代のロンドン。バンクス家の長男マイケルは今では家庭を持つ父親となり、かつて父や祖父が働いていたロンドンのフィデリティ銀行で臨時の仕事に就いていた。しかし現在のバンクス家に金銭的な余裕はなく、さらにマイケルは妻を亡くしたばかりで家の中も荒れ放題。そこへ追い打ちをかけるように、融資の返済期限切れで家まで失う大ピンチに陥ってしまう。そんな彼らの前に、あの「ほぼ完璧な魔法使い」メリー・ポピンズが風に乗って舞い降りてくる。主人公メリー・ポピンズを「プラダを着た悪魔」のエミリー・ブラントが演じるほか、共演にも「キングスマン」のコリン・ファース、「マンマ・ミーア!」のメリル・ストリープ、「007 スペクター」のベン・ウィショーら豪華キャストが集結。前作でメリーの親友バートを演じたディック・バン・ダイクも出演する。監督は「シカゴ」「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉」といった大ヒット映画のほか、舞台演出家・振付師としても活躍するロブ・マーシャル。

=== ち な み に ===
メリー・ポピンズ(1964年に製作されたウォルト・ディズニー・カンパニー製作のミュージカル映画)
●ストーリー
1910年。ロンドンの桜通りに住むジョージ・バンクス氏は厳格で気難しい銀行家。妻のウィニフレッドも女性参政権運動に夢中で、子供は全てナニー(乳母)任せだった。 二人の子供である、姉のジェーンと弟のマイケルは悪戯好きで、ナニーがすぐに辞めてしまっていた。
新しいナニーを募集しようと広告の文章を考えているバンクス氏に、子供たちは「優しくて、美しく、親切でおもしろいナニー希望」の広告を書いて見せるが、父は子供たちの意見を汲むどころか、その紙を暖炉に放りこんでしまった。
しかし、ジェーンとマイケルの広告は煙突から空高く飛んで、雲の上のメリー・ポピンズのもとに届いた。翌朝、バンクス氏の出した広告を見て集まった応募者達がバンクス家の玄関の前に並んでいると突然風が強くなり、応募者はみな吹き飛ばされてしまう。あっけにとられる子供達をよそに、傘を差したメリー・ポピンズが空から舞い降りてくる。
メリーは自己紹介もほどほどに子供部屋へ行き、指をぱちんと鳴らすと魔法のように散らかった部屋が片づき、絨毯で出来た不思議な鞄からは何でも出す。厳しいが魅力的なメリーと子供たちはすぐに仲良くなった。散歩のときには大道芸人バートの描く絵の中に入って遊び、メリーゴーランドの馬に乗ってキツネを狩りから守ったり、競馬に飛び入り参加したり、笑いが止まらないせいで宙に浮かんだ叔父さんと一緒に浮かんでしまったりなど、子供達はメリーと一緒に不思議で楽しい体験をしていく。
メリーがやって来てからは家中が明るくなり、いつも不機嫌だったハウスキーパーやコックが歌まで歌いだしたのがバンクス氏は訝しく、不愉快でたまらない。メリーを譴責しようとして逆に丸め込まれたバンクス氏は、それならばと子供たちに自分の働く姿を見せ、改めて厳格にしつけようと考えた。
寺院で貧しい老婆が売る鳩の餌に小遣いの2ペンスを使おうとする子供達を、バンクス氏は「そんな下らぬ無駄遣いをしてはならん」と叱り、自分の勤める銀行へ連れて行く。 銀行の老頭取はマイケルの2ペンスを取り上げて無理に預金をさせようとしたので、子供たちは思わず「私のお金を返して!」と大声を出した。それを聞いた預金者たちは銀行が危ないのではないかと勘違いし、あわてて払い戻しに殺到、取り付け騒ぎで銀行は大混乱に陥った。
逃げ出した子供達は道に迷ったが、さいわい煙突掃除夫姿のバートに出会った。バートは「お父さんは酷い人ではなく、銀行という檻の中で誰も頼る人がいない、ひとりぼっちで可哀想な人なんだよ」と子供たちに教える。 バートがバンクス氏宅まで子供達を送り届けると、バンクス夫人はバートに自宅の煙突掃除と子守を無理矢理に頼みこんで出かけてしまう。 子供達はメリー・バートと一緒に煙突を通って屋上に吸い上げられ、地上では見られない夕暮れの美しいロンドンを体験する。すると、あちこちからバートの友達の煙突掃除夫達が現れて、一行は屋上からバンクス宅の中まで、上を下へと煤だらけになりながら盛大に歌い踊りつづけた。 そこへ帰宅したバンクス氏は事態に呆れ怒るが、その時銀行の老頭取から呼び出しの電話がかかってくる。クビを覚悟して落ち込むバンクス氏に、バートは「子供に愛情を注げるのは今のうちだけなんですよ」と諭す。子供達は「私たちのせいでごめんなさい」とバンクス氏に謝り、せめてもと小遣いの2ペンスを渡す。
出頭した銀行で、やはりバンクス氏は取り付け騒ぎを引き起こしたかどでクビを宣告される。しかしそのときになってバンクス氏はメリー・ポピンズの魔法の言葉「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」(長大語)を思い出して笑い出し、老頭取にジョークを教え、クビになったことなど気にも留めず楽しそうに銀行から去って行き、そのまま行方不明になってしまう。
本当に大切なものは仕事ではなく家族・子供たちだったことに気づいたバンクス氏は朗らかに翌朝家に戻り、一家は揃って凧揚げに出かける。 公園では老頭取の息子重役達も凧揚げをしていた。彼らによれば、老頭取はバンクス氏が教えたジョークのおかげで心から大笑いしながら、実に幸せに亡くなったというのだ。重役たちはバンクス氏を銀行に復職させることを告げ、一同はみんなで歌いながら凧揚げを楽しむ。
あれだけメリーに懐いていた子供たちも、やはり本当の父と母が一番だった。自分の役目は終わったと感じたメリーは、次の子供たちのために旅立つことを決意する。
凧を売るバートに「さよならメリー・ポピンズ、またすぐ帰ってきておくれ」と見送られながら、メリー・ポビンズは風に乗り、空に舞い上がって行った。