年末年始は、お餅を喉に詰まらせる窒息事故や飲酒による急性アルコール中毒の患者が増える時期です。
新年を健やかに過ごすためにも、予防法や万が一の時の対処法を知っておきたい。
以下は福井大学医学部附属病院救急部の山田直樹助教授の解説です。
餅を喉に詰まらせると、気道をふさいで窒息につながる場合がある。
加齢とともに「かむ力・飲み込む力・せきで押し返す力などが弱くなり、特に高齢者は注意が必要だ。
餅をのどに詰まらせ、気道が完全にふさがってしまうと、わずか5分程度で心臓が停止してしまう。周囲が応急手当を行うと後遺症を残さない確率は2倍になるという。
異物がのどにつまり、窒息に陥った人は、親指と人さし指で喉をつかむしぐさ「チョークサイン」を見せることが多い。周囲の人がこのしぐさを見つけたら、すぐに応急処置を始める。
①せきをしている場合は、完全に気道がふさがっていない証拠。
せきこませて自力で吐き出させる。
この時、口に指を入れて餅を取り出そうとしてはいけない。
餅がより奥にいって気道をふさいでしまったり、救助者が指をかまれてけがをする恐れがあるためだ。
呼吸の際に、「ぜいぜい」「ヒューヒュー」と鳴るようであれば、餅が詰まって、空気の通り道である「気道」が狭くなっている状態である。
②せきをしても餅がとれない、せきができなくなった時は、周囲の人に119番を依頼し、すぐに餅の除去を始める。
まずは「背部叩打法」から試す。患者の後ろに回り、左右の肩甲骨の真ん中を手のひらの付け根部分で力強くバンバンと何度もたたく。
必ず上体を倒して行う。「はたくような感じではダメ。かなり強くたたいて」と。
この方法は、年齢や性別は関係なく実施できるので、まずはこの『背部叩打法』から試してみるのが良いかもしれません。
頭を下げて気管の位置が真っ逆さまになるようなつもりで、頭をグッと下げて背中を叩くのであるが、大人は逆さまにするのが難しい。
③背部叩打法を試しても効果がない場合は、おなかを圧迫する「腹部突き上げ法」を試みる。
患者の後ろに回り、腰のあたりに腕を回す。片方の手で握り拳をつくり、親指側を肋骨の下部の尖っている部分「剣状突起」とへその間に当てる。
もう一方の手で握り拳を包むように握り、素早く自分側に向けて一気に引き上げることを繰り返す。
内臓を痛める可能性があるので、救急隊員が到着したら腹部突き上げ法を行ったことを伝える。
餅を除去できても念のため受診するといい。乳児と妊婦には行ってはいけない。
背部叩打法のみ行う。未就学児も避けるようにする。
【乳児の場合】
乳児には背部叩打法を行う。腕や膝の上に乳児をうつぶせに乗せて手のひらであごを支える。
頭は体よりも低く。手のひらの付け根で背中の真ん中を数回強くたたく。
【反応がない】
ぐったりして反応がない場合は、周囲の人に119番してもらい、すぐに心臓マッサージを行う。
のどに詰まった時に掃除機で吸い取る方法については、「掃除機で吸い取った実例は数多くあるが、清潔ではないし、掃除機のノズルを口の中に入れるので合併症のリスクがある。
【予防のポイント】
▽餅を小さく切り、食べやすい大きさにする(目安は1センチ角)
▽お茶や汁物を飲んで喉を潤してから食べる
▽ゆっくりとよくかんでから飲み込む
▽高齢者はできるだけ一人で食べない
▽餅を食べていて「チョークサイン」が見えたら注意 !
これはつ まらせた際に人間が自然に出す仕草ですから・・・。
正月を悲しいものにしないためにも、ぜひ、知っておきたいものです。
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