百歩譲って財政問題があるなら、政府資産を売ればいい
日本に財政問題などないことは明らかだが、百歩、千歩譲って、財政問題があるとしよう。
あるいは将来的に、財政問題が生じたとしよう。
そこで真っ先にすることは、増税でも歳出カットでもない。資産の処分である。
要するに資産を売って、財政の足しにすることだ。
民間の企業でも、経営が苦しくなってきたら、みずからの関連子会社を売却することを考え
る。大事な強みを手放していいのかという議論はさておき、倒産を避けるために資産を処分す
る、というのは当たり前に行われていることだ。
政府でも同じだ。
たとえば、2009年、政権交代を機に大変な赤字が発覚したギリシャでは、大々的な政府資
産の売却が行われた。だから日本だって、もし財政問題があるというのなら、まず資産を売れ
ばいい。
こういうと、財務官僚から「資産には売れないものもある」という批判が出る可能性がある。
ただ、日本政府の資産の大半は、金融資産だ。そのため、海外では「日本政府は、売ろうと思
えば売れる資産がたくさんあるのに、ぜんぜん売ろうとしないのだから、財政破綻するはずが
ない」と見られている。
「売ろうとしない」のは、もちろん日本に財政問題がないからだが、じつは「売りたくない」
という事情もある。
日本政府の金融資産は、じつは天下り先への出資金、貸付金が非常に多いのだ。
となればもう明らかだろう。政府の資産を売るとなれば、当然官僚が天下り先として確保して
いる特殊法人や政府子会社も処分することになる。「政府資産には、売れないものもある」と
いうのは、せっかくの将来の落ち着き先がなくなっては困る、という官僚の泣き言に過ぎない
のである。
「自分たちの将来のために、資産は売りたくない」――これが、財務官僚の本音なのだ。同じ
官僚出身の身としては、情けない話である。再就職先くらい、自分で見つけたらどうかといい
たい。
こういってもわかってもらえないのなら、法律で規制するしかない。実際、私は第一次安倍
政権の内閣参事官だったころに、天下りの法規制の改革立案担当者だった。じつは私にも官僚
時代に退職人事関わり、再就職斡旋を行った経験がある。「天下り」とは、つまり「不適切な再
就職」ということだが、実際には各省庁で当たり前のように、その「不適切な再就職」の斡旋
が積極的に行われているのだ。
天下りをするのは一定以上の管理職だ。
とはいえ、天下り先へ予算をつけたり監督権限行使の際に、天下り先には手加減したりとい
った経験のある役人は多いはずだ。
こういうものも含めれば、天下りは各省庁の組織ぐるみのことである。現行の法規制には抜
け穴もある。だから、天下りはなかなか減らないのである。
組織の内側から正すことが難しい以上、やはりもっと厳しい法規制が必要である。たとえば、
官僚の再就職は必ずハローワーク経由で行い、手続きを透明化する、官僚OBが直に行う斡旋
もしっかり補足し、罰則を設ける、といったことだ。
こうして天下り先が根絶やしにされていけば、「天下り先である資産を売りたくない」なん
て泣き言も聞こえなくなってくるだろう。
もとより、今の財政状況は安泰といえる状況だが、いざというときには、その政府資産が真
っ先に処分される対象となる。
日本に財政問題などないことは明らかだが、百歩、千歩譲って、財政問題があるとしよう。
あるいは将来的に、財政問題が生じたとしよう。
そこで真っ先にすることは、増税でも歳出カットでもない。資産の処分である。
要するに資産を売って、財政の足しにすることだ。
民間の企業でも、経営が苦しくなってきたら、みずからの関連子会社を売却することを考え
る。大事な強みを手放していいのかという議論はさておき、倒産を避けるために資産を処分す
る、というのは当たり前に行われていることだ。
政府でも同じだ。
たとえば、2009年、政権交代を機に大変な赤字が発覚したギリシャでは、大々的な政府資
産の売却が行われた。だから日本だって、もし財政問題があるというのなら、まず資産を売れ
ばいい。
こういうと、財務官僚から「資産には売れないものもある」という批判が出る可能性がある。
ただ、日本政府の資産の大半は、金融資産だ。そのため、海外では「日本政府は、売ろうと思
えば売れる資産がたくさんあるのに、ぜんぜん売ろうとしないのだから、財政破綻するはずが
ない」と見られている。
「売ろうとしない」のは、もちろん日本に財政問題がないからだが、じつは「売りたくない」
という事情もある。
日本政府の金融資産は、じつは天下り先への出資金、貸付金が非常に多いのだ。
となればもう明らかだろう。政府の資産を売るとなれば、当然官僚が天下り先として確保して
いる特殊法人や政府子会社も処分することになる。「政府資産には、売れないものもある」と
いうのは、せっかくの将来の落ち着き先がなくなっては困る、という官僚の泣き言に過ぎない
のである。
「自分たちの将来のために、資産は売りたくない」――これが、財務官僚の本音なのだ。同じ
官僚出身の身としては、情けない話である。再就職先くらい、自分で見つけたらどうかといい
たい。
こういってもわかってもらえないのなら、法律で規制するしかない。実際、私は第一次安倍
政権の内閣参事官だったころに、天下りの法規制の改革立案担当者だった。じつは私にも官僚
時代に退職人事関わり、再就職斡旋を行った経験がある。「天下り」とは、つまり「不適切な再
就職」ということだが、実際には各省庁で当たり前のように、その「不適切な再就職」の斡旋
が積極的に行われているのだ。
天下りをするのは一定以上の管理職だ。
とはいえ、天下り先へ予算をつけたり監督権限行使の際に、天下り先には手加減したりとい
った経験のある役人は多いはずだ。
こういうものも含めれば、天下りは各省庁の組織ぐるみのことである。現行の法規制には抜
け穴もある。だから、天下りはなかなか減らないのである。
組織の内側から正すことが難しい以上、やはりもっと厳しい法規制が必要である。たとえば、
官僚の再就職は必ずハローワーク経由で行い、手続きを透明化する、官僚OBが直に行う斡旋
もしっかり補足し、罰則を設ける、といったことだ。
こうして天下り先が根絶やしにされていけば、「天下り先である資産を売りたくない」なん
て泣き言も聞こえなくなってくるだろう。
もとより、今の財政状況は安泰といえる状況だが、いざというときには、その政府資産が真
っ先に処分される対象となる。