Wind Letter

移りゆく季節の花の姿を
私の思いを
言葉でつづりお届けします。
そっとあなたの心に添えてください。

詩作品 「酔蝶花}

2024-08-31 18:08:35 | 花物語

                          高安ミツ子 


     

     今日の終わりを吸い込むように

     夕暮れに酔蝶花が咲きだした

     風や虫を憩わせて咲くいくつもの酔蝶花をみていると

     夕暮れは私の輪郭をも揺らしていく

 

     老いて なお不揃いの心があって

     生への答えは見つからないけれど

     何かに抗うように声にならない私の思いは

     点いたり消えたり

     暮れなずむ庭で私の落し物は何だったろうかと思えてくる

 

     この頃は時代の猛暑にやけどをしているような私だが

     八十歳近くなると人生をひと回りしたような思いがして

     過ぎてきた時を手繰り寄せることで

     生きることへの帳尻合わせをしているようだ

     

     記憶の中の私は小さな物語のまま

     時の雨傘をさしてひたすら私を歩いていた

     どんな思い出にも辛さや切なさはあったけれど

     それらは上書きされ今は懐かしさとなって

     過去の私から今の私へと手渡されている

     そしてあの曲がり角で出会えた優しかった人々が思い出される

 

     盛夏に咲く酔蝶花は風に揺れていて

     花火のような花々には優しさがあって

     今日の私の残り火が帰り着く場所のように思わせてくれる

 

     そうだ 今宵 思い出写真を夜の静寂に沈めて

     宵闇に咲く酔蝶花の蝶になって私の思いをつたえようか

     わずかに見える明日を抱えながら

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「私の四季」酔蝶花 

2024-08-16 16:34:27 | 花物語

            高安ミツ子


猛暑のお盆に

庭中 酔蝶花は花火のように咲いて

逝ってしまった人々の命の輝きを照らすように

先祖をやさしく迎えています

花は虫たちの誘いに揺れてるのか

今宵の命を揺れるのか

夏をゆるりと咲く酔蝶花

猛暑のお盆に

庭中 酔蝶花は花火のように咲いて

逝ってしまった人々の命の輝きを照らすように

先祖をやさしく迎えています

花は虫たちの誘いに揺れてるのか

今宵の命を揺れるのか

夏をゆるりと咲く酔蝶花

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私の四季 檜扇が咲きました

2024-07-29 14:11:12 | 花物語

猛暑の中、咲いている我が家の庭の花々です。早朝と夕方水やりをしていますが、花にとっても厳しい夏となっています。
 
 
万葉集にもある檜扇(ひおうぎ)が鮮やかに咲きました。
 
「居明(いあ)かして 君をば待たむ ぬばたまの わが黒髪に 霜はふれども」(作者未詳)万葉集より
ぬばたま(ひおうぎ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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花てまりの中でくるくるまわれ

2024-07-12 15:34:07 | 花物語

   

          高安ミツ子  


      

            

 

   四十雀(しじゅうから)がさえずり

   紫陽花は沈めた時を掬い上げるように

   海の青さで六月を咲いている

 

   雨は蕭々と降っている

   過ぎた時間に傘を傾けていくと

   長い人生の茂みで揺れた思い出が

   青い紫陽花からこぼれだしてきた

 

   今年も夏祭りがやってきた

   義母手作りの浴衣を子供たちに着せ

   神社まで続いた華やいだ紫陽花の坂道は

   日ごとに遠のいていき 

   日ごとに昔話になっていく

   あの時のように花火が上がっても

   生きることの風景は色褪せている

   庭に咲く紫陽花の群れは私の心と絡み合い

   今日の寂しさに揺れている

 

   時に抗(あらが)うように

   家中を紫陽花尽くしで飾っていくと

   消えてしまった思い出がゆっくりと集まり

   逝ってしまった人々との別れの深さが

   哀愁おびた懐かしさで蘇ってくる

   やがて哀愁は愛おしい水たまりになって

   私の心時計をやさしく動かしていく

 

   花てまりの中で

   くるくるまわれ 私の思い出

   くるくるまわれ 私の物語

   くるくるまわれ 今日の歩み

   紫陽花はいくつもの人の物語を染め

   生きる残り香を連れて私の後ろ姿も映していく

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「私の四季」 紫陽花尽くしの6月

2024-06-14 14:52:59 | 花物語

  

亡き友からいただいた紫陽花が今年は咲きました。

我が家は家中紫陽花尽くしです。仏壇をはじめ床の間もそして居間も玄関も紫陽花に

包まれて楽しんでいます。この季節に味わえる贅沢といえましょう。

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