五行詩 ほおずき
蝉の鳴き声にほおずきは
だんだん赤く色づいていきます
いっぱい いっぱい夏色に染まった時
仏さまの道案内が待っています
今年もお盆がまぢかです
のうぜんかつら
のうぜんかつらが夏に絡まり
遠い記憶を咲いている
優しい身振りのゆらぎにも
母の独り言が思い出されてくる
花影からあふれてくるあなたの声を
私は糸状に手繰って
手まりを作っていくと
見えなかったあの頃のあなたの気持ちが
年齢の時報を知らせるように
汗ばんだ沈黙の中に落ちてくる
思い出橋を渡っていると
蝉時雨は夏の原色で私を包み
母の声は日輪に染まっていたが
何処までいってもあなたは母のまま
のうぜんかつらの花を模して
静かに赤く揺れていた
五行詩 檜扇(ひおうぎ)
いったい誰を待っているのでしょう
万葉の頃からずっと
けなげに咲き続けています
めまいが起こりそうなこの猛暑
とっておきの緋色は夏の恋
五行詩 サフランモドキ
ターシャもどきの私の庭に
サフランモドキが咲きました
私の人生に もどきがいっぱいあるけれど
風がめくるいくつかのページには
やっぱり私だけの道がみえてます
五行詩 百日紅(さるすべり)
屋台が並ぶ夏祭り
リンゴ飴や綿菓子がおーい おーい
ゆかた姿の子供達を呼んでいます
子供のかわいさをフリルにして
百日紅が咲いています