Wind Letter

移りゆく季節の花の姿を
私の思いを
言葉でつづりお届けします。
そっとあなたの心に添えてください。

私の七十二候  雪

2019-02-22 20:47:54 | ~詩でつづる私の七二候~

   

                                                   高安ミツ子


  

                    

                     

                            見上げる空から

                            私を包むように

                            数えきれない雪が

                            雪が舞い降りてきます

                            私は日常を越えて

                            雪景色の奥へと染みこんでいきました

 

                            ハイヒールの若やいだ靴音が遠くから蘇り 

                            忙しい時間を両手に抱えて走りまわり

                            何を追いかけているのか見えなかった日々が

                            しおりを入れたページのように開きます

                            ゆっくりと街角を曲がり

                            見上げた夕焼けの美しさが

                            私の生きてきた証におもえて

                            涙がとめどもなくあふれた日も想いだされます

                            今日の雪は私の人生とまじりあい

                            私の心をさすってくれているのでしょうか

 

                            雪は天からのことづけを伝えるように

                            懐かしく安らかに舞い

                            果てのない空へ私を吸い込んでいきます

 

                            ヒヨドリが椿の蜜を吸っています

                            雪に縁どられた椿が赤く咲いて

                            何処かで行き交ったような恋情が

                            胸にせまってくる景色です

 

                            ひたひたと押し寄せる私の寂寥に

                            雪は私に舞い下りています

                            それでも心に積もる雪の美しさを

                            私はまだ優しく文字に書けるでしょうか

 

                            雪は静かに降り積もっています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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