Wind Letter

移りゆく季節の花の姿を
私の思いを
言葉でつづりお届けします。
そっとあなたの心に添えてください。

Wind Letter

2021-01-10 15:19:43 | 詩作品

                                    

                                                                                                                                高安ミツ子


    

               

 

           

                  冬空を鮮やかに彩っていた
                  皇帝ダリアが一晩の内に
                  霜枯れてしまった朝
                  義母は静かにみまかりました

                  冬が南天の赤い実に寒さを結んでいくように
                  沢山の思い出を私に結んだまま
                  義母は永久の眠りにつきました

                  最後は自分が誰であるかも
                  生きている風景も見えなくなってしまった
                  義母の寂しさを思うと
                  まだ暖かさが残る義母を
                  何かで包んであげたいと思っても
                  私は自分の顔を重ねて泣くことしかできませんでした
                  あなたと最も近しい距離にいられたはずの時間は
                  別れの深さを伝えていました

                  夫と二人で見送った朝
                  義母から託された約束の
                  ナデシコの浴衣を義母に着せました
                  そして お化粧をすると昔の義母の面影が蘇り
                  義母は安らかな顔になりました

                  ここ数年 
                  義母をつなぎ止める言葉が見つからず
                  波がひいていくように私たちから遠のいていきました
                  それは誰かが大きなヤツデの葉を振り払って
                  義母の記憶を消していくようにも思える重い日々でした

                  施設を訪れるたびに夫は
                  遠のいていく義母への思いを
                  千羽の鶴に折り込んでいきました
                  そして今日の折り鶴は
                  「苦しむことなく飛び立てるように飛翔している鶴を」
                  と夫は申します
                  二人とも黙って別れの気持ちを折りました

                  今 帰宅した義母を迎える我が家の庭は
                  冬枯れで淋しいけれど
                  義母の好きだった カマツカが赤い実を残しています

                  見上げると澄んだ冬空を風花が舞っています
                  義母との三十四年間響き合った時間から
                  もう、はぐれてしまった寂しさが私を濡らしていきます
                  風花は静かに眠る義母をいとおしむように
                  冬空を舞っています

 

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私の四季

2021-01-04 15:05:49 | 花物語

明けましておめでとうございます。

昨年からコロナのため家にいることの日々でしたが、その延長の新年を迎えました。

子供たちや孫たちも今年はお正月には来ないため静かな、少し寂しいお正月となりました。

大変な中で人々はいろんなことを考え乗り切ろうとしています。私も今自分ができることをと思いながら過ごしていますが昨年から体調を崩し

何もできず、足の痛さと血圧の不安定と息苦しさに見舞われてきました。ここへきて、やっと足の痛さ以外は落ち着いたところです。

新年を迎え輝く朝日を見ながらコロナが一日も早く収まることを祈りました。

過去の歴史の中でもおそらく疫病に見舞われ苦しんでいた人は今の私たちの思いと何ら変わりがないものだったのでしょう。

文明の進歩はあっても人の感情は何ら変わらないことを改めて感じています。

本年も宜しくお願いいたします。どうぞ健やかでお過ごしください。

寒さの中我が家に咲いている花々です。ひたむきに咲く姿は生きる力を知らせてくれます。

 

           

 

 

 

 

 

 

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