Wind Letter

移りゆく季節の花の姿を
私の思いを
言葉でつづりお届けします。
そっとあなたの心に添えてください。

郷愁の秋

2015-12-03 17:13:19 | 花物語

 

 


 

父母が亡くなり   伯父が  

そして叔母が亡くなり   

車窓に映る故郷への道は細くなるばかりです  

故郷への思いは   

秋の風が吹くたびに   

私の心の深い吹き溜まりに   

懐かしさと置き忘れたものが混じり合い   

ハゼの葉が赤く色づくように蘇ります   

 

車窓に映る信州の山々は   

龍の小太郎伝説があるように   

天に昇っていく山霧に龍が隠れているように思えます   

龍は尾をゆすり全山の木々を撫で   

カラマツを 桜を   もみじを 銀杏を   

そして野草をも全ての物に息をかけて   

秋色に染めています   

 

赤く熟した柿は   

山霧に巻かれるたびに甘さを増し   

深まりゆく秋を私に知らせています   

私の故郷は  

私の楯になってくれた人の声が聞こえなくなり  

山霧の向こう側に消えてしまったかもしれないが  

この空気とこの風と山並みは   

あの時のままです   

突然 車窓の秋の紅葉は   

グラデーションをもった旋律のように  

押し寄せてきて   

何も語らなくてよいと一気に私を飲み込んでいきました   

この素早さはやはり龍が   

生きる悲しさをぬぐってくれるのでしょうか   

故郷の秋雨はしめやかです

コメント
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