高安ミツ子
コロナウイルスの蔓延で多くの人々が閉塞感の中で生活していると思われます。
この時期だからこそ、日々の暮らしの中で、生きることの何かを問いかけられているように思えます。
体力のありようや心の持ちようをどうしたいのかも考えさせられます。
個人的には私は昨年の八月から体調の悪い日が続き、コロナと私の体調にはどんな因果関係があるのだろうかとすら思う日々でした。
いま、庭にはミモザが咲いています。春をいち早く知らせて咲く花です。洋画家三岸節子の描いたミモザの作品に感動して、
小さな苗を購入し鉢植えにしたものですが、二十年以上我が家で毎年咲いてくれます。
コロナ禍の日々でも、ミモザは房状の花をつけて、その黄金色の色彩は目を見張るものがあります。三寒四温の中でも、その大らかさに
心が洗われ、喜びは自らが作り出さなければならないことを知らされるのです。
季節ごとに咲く花々を見ているとアメリカの絵本作家であったターシャチュダーが思い出されました。ボストン郊外の広大な土地に
好きな草花を植え、一日の大半を草花の手入れをし、更に、庭でとれた果実でジャム作りや手作り料理をするというほぼ自給自足に近い
生活をしたそうです。一人住まいのターシャにはコーギー犬の「メギー」がパートナーとなり、他にもハトやにわとりなどの小動物もいたようです。
ターシャは日記代わりに周りの草花や動物達をスケッチするというゆっくりとした時間をすごしたようです。
「社会通念より自分の価値観に従って生きるほうを選んだので、面白く充実した人生を歩んだと思う」と述べています。
気負うことなく、自然を敬い、いつくしむターシャチュダーの生き方は、時を超えて私たちの心に迫り、味わい深い生き方を教えてくれます。
我が家の庭は小さいけれどシジュウカラのさえずりが聞こえてきます。春が近くにいることを感じます。
私は大きく深呼吸しながら春の命に触れながらターシャの気持ちを模索する三月を迎えています。
庭に咲く花々をご覧ください。