私のつれづれ草子

書き手はいささかネガティブです。
夢や希望、癒し、活力を求められる方の深入りはお薦めしません。

認知症

2009-08-17 | 3老いる
近ごろ、父の認知症が著しく進行している。

認知症が軽くたって要介護5なのだから、温かい援助の手なくして生きてゆけないのだが、その症状の現れ方がエネルギッシュで、周りの人間は戸惑いを隠せない。

以前から彼には何かしら見えざるものが見えているようだったのだが、それに対する反応が最近は激しい。
動くほうの手を精いっぱいに伸ばして、その見えざるものを指差し、恐怖の表情で体をこわばらせる。
渾身の力を振り絞っている様子で、そのパワーは体力のある介護のプロをも驚かせるらしい。

きっと、脳内で梗塞が続発し、脳細胞の機能しない部分がどんどん増えているのだろう。

しかし、同じ様に機能不全を起こされている方でも、その症状の現れ方は千差万別。

私はやはり父のエネルギーに舌を巻かざるをえない。

先に彼岸の向こうに行ってしまったかの人が、父を誘っているのかもしれないが、しかし、父はまだあちらに行く気はないだろう。

先日はある親族が
「頑張りすぎだよね…」なんて愛のない言葉を吐いていた。

「うわぁ、冷たい人だねぇ…」と聞きながら、その親族も年齢を重ねて毒を包み隠すことを忘れ始めているのかもしれないとも思った。

父自身は、その見えざるものが見える時以外は、そんな恐怖もおびえもお忘れになっている様子で、不敵な笑みを浮かべている。

まったくもって認知症の進行する形を絵に描いたように体現していて、本人は周りで気遣うほど悩ましい状態ではないのだろうが、できるだけ穏やかに残された日を過ごしてほしいもの。

一人で生きている訳ではなく、周りの人が辛いでしょ…なんて言ったって、周囲の思惑は関係ないって言うだろうなぁ…お父上様。
コメント
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