私のつれづれ草子

書き手はいささかネガティブです。
夢や希望、癒し、活力を求められる方の深入りはお薦めしません。

すねる愛車③

2010-03-02 | 13侘ぶ寂ぶ哀しむ
エンジン始動不具合のチェックと車検を兼ねた車の整備は、土日をはさみ丸四日間で終了した。

始動不具合の再現は見られず、これといった不良個所も確認されなかったという。
ただ、エンジンにつながる箇所にかなりの汚れが見受けられ、それが原因となった吸気不良といったものが影響したのではないか…ということだった。

再発防止のために、時にはエンジンを3,000回転ぐらいさせる環境を与えてやって欲しいということだった。

確かに、走りを楽しむ傾向の強い車種の愛車は、高速走行において快適な印象だった。
馬力はないのだが、なめらかな走りが特長と感じてもいた。

そして、高速走行を含めて毎日20~30キロ走ることの当たり前だった愛車が、今年に入って街中の渋滞道路をちょろちょろすることが週に何度か…といった環境変化の下にいたのも確かなのだった。

私は、おっかなびっくり渋滞道路をふかしたり、あおったりしながら運転するようになった。
そんな運転、全然趣味じゃないのだけれど。
ひょっとして途中でストップしたら。
そしてエンジンがかからなかったら…なんて想像すると、アクセルを踏み、あおらずにはいられないのだ。

そして、やはりエンジンの始動が一回で決まらないという状況は続くのだった。

現象が再現されない…といわれているからには、整備工場に再持ち込みすることには勇気を要した。
なるべくふかして、まめに始動してやるけれども、再度エンストした際の想定をしつつ運転し続ける訳で、まるでホラー映画の恐怖シーンばかり連続して見続けているようなものだ。

胃にキリキリとした痛みが走り、炎症が起きているのを手にとるように感じることができた。

何故、こんな思いをして自分の車を運転しなくてはならないのか。
いい加減疲れ果て、四十九日の客人の送迎を何とかなし終えた翌日、再びエンジンはかからなくなった。

その日も雨が降っていた。
来客を迎えに行き「最近、運転が怖いのですよ…」と話しながら、途中ガソリンスタンドへ給油に寄り、もしもエンジンが止まったりした時の為に20リットルだけ給油をし、エンジンを始動しようとした時、スタータースイッチは空回りを続けた。

「エンジンかからないみたいですねぇ」とガソリンスタンドのスタッフが物慣れた様子でバッテリーチェッカーをセットしてみてくれたところ、バッテリーの状態はすっかり劣化していて早めの交換を必要とするレベルだった。

「ほんの二週間前にバッテリー交換したばかりなのだけど…」
と訴えると
「蓄電ではなく、電気をつくる部分の異常かもしれませんねぇ」
と、スタッフはやはり慣れた物言いである。

結局、ガソリンスタンドのバッテリーにコードをつないでもらってエンジンを始動し、ディーラーへ向かうことになった。

そして、雨降りの中、ディーラーまで、夕方の渋滞道路を運転しなくてはならなくなった。
ワイパーもライトも曇り止めエアコンも極力使いたくない。
いつエンジンが止まるかわからないのだから。

数キロの道のりを必死の思いで運転し、整備工場まで愛車を持ち込んだのだった。
コメント
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