ゆっくり行きましょう

好きなことじっくり楽しむシニア

蕨の「喫茶クラウン」で憩う

2025年03月03日 | カフェ・喫茶店

蕨のレトロ喫茶店「喫茶クラウン」に行ってみた、初訪問、蕨は初めて降りる駅だが住所は川口市だ

蕨駅の東口から徒歩5分くらいだろうか、五差路の複雑な交差点の角に「クラウン」はあった、中に入ると2階も喫茶店のようだが今は使用してないそうだ

1階の空いている席にどうぞ、と言われ四人掛けの席に腰かける、奥には厨房があり、店内はけっこう広い、2階に昇る螺旋階段が見える、半分くらいの席が埋まっていたか、落ち着いた感じがある

メニューからブレンドコーヒー400円をたのむ、いまどき安いでしょう、店内は喫煙可能なようだが、広々としているのでそんなに煙草の匂いは気にならなかった

コーヒーは苦みがある好きな味だ、私は酸味のあるコーヒーが苦手なので良かった、ケーキセットや食事もあるようだから便利な町の喫茶店であろう、見ているとけっこうお客さんが入ってくる

店内の造作、設備、調度品など味のあるものばかりで良い雰囲気だと思った、こんな喫茶店が地元にあったらどんなにいいことか、値段も安いし最高だ、店員さんはみんなおばちゃんたちでほっこりしているムードが良い

ゆっくり寛げました、ご馳走様です


新国立劇場「カルメン」を観劇する

2025年03月03日 | オペラ・バレエ

新国立劇場でカルメン(全3幕)を鑑賞した、4階席7,700円、最上階の後ろから2列目だが、舞台は欠けるところがなく全体が良く見えた、ただオーケストラピットは見えなかった、見える範囲では9割以上の座席が埋まっていた、この日はS席だけ当日販売があったようだ、2時開演、5時10分終演

劇場の宣伝では、「新国立劇場で2021年に新制作したアレックス・オリエ版『カルメン』は、オリエらしいスペクタクル性と、観客を唸らせる斬新な解釈が詰まった舞台。現代的で知的、勇気と反骨心を持って自由に生きる女性カルメンと、独占欲が強くて嫉妬深く、拒絶を受け入れられない男ホセの恋物語、そして今日どこにでも起こり得る悲劇となって、特に若い世代の共感を呼びました」とあるが、ホセを偏狭な悪い人物なように描き、カルメンを持ち上げる説明に違和感を持った、今度一度原作を読んでみよう

【指 揮】ガエタノ・デスピノーサ(Gaetano D'ESPINOSA、伊)
【演 出】アレックス・オリエ(Àlex OLLÉ、スペイン)
【台本】ルドヴィック・アレヴィ、アンリ・メイヤック(フランス語)
【原作】プロスペル・メリメの小説『カルメン』
【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】TOKYO FM 少年合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

出演

【カルメン】サマンサ・ハンキー(メゾソプラノ、Samantha HANKEY)
【ドン・ホセ】アタラ・アヤン(テノール、ブラジル、Atalla AYAN)
【エスカミーリョ】ルーカス・ゴリンスキー(Lukasz GOLINSKI、バス・バリトン、ポーランド)
【ミカエラ】伊藤 晴(ソプラノ)
【スニガ】田中大揮
【モラレス】森口賢二
【ダンカイロ】成田博之
【レメンダード】糸賀修平
【フラスキータ】冨平安希子
【メルセデス】十合翔子

観劇した感想などを述べてみよう

演出について

  • 演出のオリエは、バルセロナ生まれ、カルルス・パドリッサと共同演出したバルセロナ・オリンピック開会式をはじめとする大規模イベントや、演劇、映画と多くの分野で活動している
  • 今回の演出は2021年7月、新型コロナで制約のあった演出を練り直したとのこと
  • 新国立劇場のwebページにはオリエの演出方針の解説や大野芸術監督との対談など多くの情報がアップされており、事前の勉強で大変参考になった
  • オリエは「私は、カルメンの自由を求める人物像が一番の魅力ではないかと考えています。カルメンは自由の象徴です。問題が起これば抵抗する女性です、そんな女性でも、間違った相手に恋をしてしまうことがある、ドン・ホセのような独占欲が強く嫉妬深く、拒絶を受け入れられないマチスタ(男性優位主義者)に」と述べているが、これには抵抗を感じた、逆の見方もできるのではないか、すなわち、純情で真面目なホセが誤って自由奔放なカルメンのような女に目がくらんで人生を狂わした、自由が一番大事だと思っている女性とはそもそも結婚など成立しないのが当たり前だろう、そういうわけで私はオリエと違ってカルメンの自由を求める人物像に魅力を感じない、純情なミカエラの方が好きだ
  • また、オリエは「舞台は東京です、スペイン・フェスティバルがあり、スペインから色々なアーティストが来る。カルメンはバンドを持っているミュージシャン、そしてコンサートの警備にあたる警察官のホセと出会う。コンサートの後には酒場に行く。裏では麻薬の密売の仕事にも関わる」と説明している、この演出の現代版や身近な例への置き換えはそんなに変だとは感じなかった、基本的な筋がきちんと原作と合っており違和感はなかった
  • オリエは「面白かったなと思って帰るだけでなく、色々な物語を感じ取ったなと思わせるくらいにやりたい。若い人たちに、物事には多様な見方、多様な考え方があるということを感じて欲しいと思っているのです」と述べているこれは同意できる、多様性が大事だとの認識が世の中で浸透してきている中で、多様性がなくイデオロギーに凝り固まっているのが日本の左派新聞だろうなと思った
  • 大野監督とオリエの対談ビデオで大野は「メリメの原作が台本になっているが、実はもう一人の原作者がいた、それはプーシキンだ、彼の詩「ロマ、さすらい人の詩」を読んで「恋は鳥のようなもの決して捕まらない、私があなたを好きになったら気をつけなさい」とハバネラにした、また、プーシキンの小説からロマンティズムを台本にたくさん入れ込んだ、原作にはないミカエラを入れたのもそうで、カルメンの魔性、野獣性、自由に対し、ミカエラの素朴さ、優しさ、家庭的、ホセと二人の純情さを対比した、と説明していたのが印象に残った、私はプーシキンの小説は大好きだ

歌手について

  • タイトル・ロールのサマンサ・ハンキーだが、オリエはカルメンのイメージは歌手はエイミー・ワインハウスだ、人生に覚悟があり、成功と没落の人生を歩んだ女性だと説明している、私はオペラを観る前まではこの設定に拒否感があったが、今日実際に観劇してサマンサ・ハンキーはけっこうこの設定を楽しんでいるなと思った
  • サマンサ・ハンキーは新国立劇場初登場、自分のブログで調べると2023年5月のMETライブ・ビューイングの「ばらの騎士」にオクタヴィアン役で出演していたのを観ていた(こちら)、けっこう美人でスタイルも良いなと感じた、今回のタイトル・ロールは彼女にとってもけっこう大事なことであったのではないか


(新国立劇場のwebサイトから引用)

  • ハンキーの歌は最初のハバネラの際は声量があまりないなと感じたが、その後、声が細いなりに頑張って歌っているなと感じた、実際、これだけ出ずっぱりの主役を演じるのは大変なことなのでしょう
  • 同じようなことはエスカミーリョのルーカス・ゴリンスキーにも感じた、彼が出てきて闘牛士の歌を歌ったときなどは声が演奏に負けて聞こえにくかったが、後の方になると2人だけの場面などになり、低音の魅力を発揮していた、ハバネラや闘牛士の歌など大勢の中で騒ぎながら歌う歌はドスの利いた図太い声でないと演奏に負けてしまうのでしょうから細身の人にはきついのかもしれない、と思った
  • その点で素晴らしかったのはホセのアタラ・アヤンとミカエラの伊藤晴だ、二人とも声量豊かでしっかりと観客席に届く声で歌ってくれた

指揮と演奏について

  • ガエタノ・デスピノーサ指揮の東京交響楽団の演奏は良かったが、ところどころパンチの効かせどころでそのパンチが強すぎてびっくりして喧しいと感じた、大きな音を出せばいいというものでもない、一番最初の序曲の出だしなどがいい例だ、しかし、私はこれを好意的にとらえた、一生懸命演奏している感じがした

その他

  • 新国立劇場はいまだにカーテンコール時の写真撮影が禁止だ、解禁してもらいたい
  • このオペラの宣伝用のポスターの写真、サマンサ・ハンキーがマイクに向かって手を広げて歌っているシーン、があまり好きになれなかった、舞台を実際に観たらもっと良いシーンはいっぱいあったのに何故この写真を宣伝用に選ぶのか、エイミー・ワインハウスを意識したのか、もっと彼女が素敵に映っている写真にしてほしかった

楽しめました