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気ままに生活してるシニアの残日録

水村美苗「大使とその妻」を読む(2/2)

2025年01月04日 | 読書

(承前)

  • イーアンは、アメリカは原爆を落としただろう、それに怒りを示した日本人には1人も会ったことがない、だから驚きだよ、アメリカの占領軍のプロバガンダの力は相当なもんだったってことさ、と言った
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    列強の悪意を見ないのがお人よし日本人だ、歴史や政治の学者こそ真っ先にそれを見抜くかと思ったら、戦勝国から押し付けられた歴史観を肯定しているありさまだ、第二の敗戦でしょう、誇りを失った我が国の将来が本当に心配だ

  • 国家は既に存在する自国の文化を金さえ出せば保存できる、日本政府はその金を出し惜しんだし、何かというと政府に文句を言う日本の人も、そこで政府に文句を言うことはなかった
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    「何かというと政府に文句を言う日本人」、そこはその通りでしょう、日本人は国家依存症だ、依存しているから文句ばかり言う、福沢諭吉の「一身独立して一国独立す」は今こそ必要でしょう、みんなが国に依存すればやがて大増税か崩壊かどちらかでしょう
  • この国は変化をしながらも図太く独自に生き延びるのかもしれないという気がしたりするという、それは日本の根源にある「何か」がまだ大河のように地下深くに流れているためでは、大陸の儒教的な教えも根付かなかったように、グローバル化の大波が押し寄せてきても結局は表層だけで終わってしまうのかもしれない、知らずにそんな自信があるから自分の古い文化をないがしろにしても平気なのかもしれない
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    そうならば良いのだが・・・、過度に自由ばかり大事だと洗脳した結果、結婚しない自由、子供を産まない自由、家族別姓の自由、自由、自由・・・自由が横行して暴れているのではないか

  • 最初にブラジルに渡った日本人は奴隷の代わりだった、最初は沖縄の人が多かった、沖縄の人が殊に貧乏だったから、出稼ぎに行こうとしたのは、農民だけではなく、沖縄や九州各県、中国地方では広島などの人が多い、1933年、1934年が一番多かった、年間2万人以上が南半球に渡った、明治時代はもう身分にも土地にも縛られず、自分で道を切り開くことができるし、開かねばという思いもあったり、国が民間の会社と手を組んでブラジル行きを熱心に農民に勧めていたのが重なったこともある、アメリカは排日移民法で行けなかった、当初政府はアメリカを移民先に選んだ、ブラジルのあとは満州になった、日本政府は満州国という傀儡政権を作り、純然たる国策として大量の国民を送りこむようになる、問題は政府と国民が別の夢を見ていたことだ、政府は移民先に永住してほしいと思っていたが移民は日本に帰ってきたかった
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    こういう日系移民の方の苦労は知らなかった
  • 篠田氏は幾度か日系移民の話をした、国家に見捨てられた人々、棄民、という言葉を初めて聞いた、南アメリカまで出稼ぎに行ったあげく見捨てられた日系移民は棄民の典型だという
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    日本人は人を大事にしない、という面が度々あるように思う、第2次大戦時の軍隊もそうだったし、戦後も一流企業や中央官庁ですらその労働実態はブラック企業並みのところが多いだろう
  • 性的暴行疑惑がある男を共和党の上院議員たちがなりふり構わずに最高裁判事として承認したとケヴィンは回想する
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    これはブレッド・キャバノ氏のことだろう、私は毎日アメリカのニュースを見ていたが、この疑惑は30年も前の彼の大学時代のものであり、虚偽の証言だったり、疑惑をサポートする他の証言者が全く出てこなかったので嘘だということになり、結局キャバノ氏は正当な手続きにより最高裁判事に就任した、共和党議員がなりふり構わず最高裁判事にしたわけではない、水村氏がこれを知らないはずはないのだが

  • アジア太平洋戦争時代、いかに日本が狂っていたかが生々しく感じられる
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    自分の先祖が狂っていたという表現には感心しないが、そういう表現が許されるなら有色人種の国をすべて植民地にして搾取してきた西洋列強こそ狂っていたと言えるであろう、そして彼らが最後にたどり着いたのが極東であり、我が国だけは自由・独立を守るため最後まで抵抗して戦った誇り高い国である
  • 第二次大戦後、日本の敗戦を信じられない人がブラジルにいた、その人たちが、日本が敗戦したという事実を皆に知らしめようとしていた人たちを殺していったという、殺された人は「負け組」または「認識派」と呼ばれ知識階級の人たちが多く、かつては日系社会で指導者だったという、戦争が終わった翌年から1年以上にわたって小競り合いが続き、負傷者はブラジル人も含めて150人ほど、殺されたのは二十数名、中には「負け組」側に殺されてしまった人もいるという、広い世界から見れば、大日本帝国が犯した罪と重なって見えるに違いない
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    知らなかった歴史である
  • 2020年の米大統領選挙の結果をひっくり返そうと議事堂に押し寄せる暴徒をテレビで観ると、75年前の「勝ち組・負け組抗争」のことを考えた、「勝ち組」のような嘘を頭から信じた人たちがいたのは、外からの情報が全く届かなかったせいだと思っていたが、今のような情報洪水の世界でも同じことが起こり得るとは・・・と感嘆させる
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    私は両者は同じではないと思うけど
  • 第二次大戦勃発後、ブラジルは中立を保っていたが、真珠湾攻撃を気に連合国側に付き枢軸国側と国交断交した、ブラジルに残された日本人は孤立し、日本からの帰国船は来なかった、日本人移民はひどい目にあった、資産没収、強制立ち退き、日本語学校封鎖、日本語禁止、工場焼き討ち、取り調べ、そういう迫害を多く受けた人ほど日本の勝利を信じた、敗戦を簡単に受け入れられなかった
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    アメリカ西海岸で日本人移民が強制収容所に入れられたなどは知っていたが、ブラジルのケースは知らなかった
  • 駐在員というのは、大使館の連中と同じように、大戦が始まり、日本とブラジルが国交断絶したとたんに、自分たちを棄てて日本に帰ってしまった連中だ
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    駐在員もそうだが、戦争末期に満州やアジアで日本軍将校たちが居留民や兵士を置き去りにして帰国したという話もある

  • 瑠璃子の父親は、イギリス人というのは、自分たちが一番上等だと思っているのだよ、だからあんな偉そうな話し方をするんだ、日本人を含めた他の人種をいかに見下しているかをまのあたりに見た、キリスト教徒にあらずば文明人にあらず、父は「日本には宗教がない、その代わりに日本文化というものがある」と言った
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    白人は今でも心の中では有色人種を見下している人が少なくないでしょう、中国や朝鮮も昔は長く日本を見下していた、その後、江戸末期からは日本人が近代化しない朝鮮や中国を見下し、今はまた中国や韓国は、長期間経済停滞し、領土問題や歴史問題で反論もしてこない日本を見下しているでしょう
  • 能楽に関連し、日本は日本古来の文化を軽んじ、戦を始めたそもそもの責任をもそのせいにするような風潮が支配し、日本人は自分たちの文化をごみのように丸ごと窓の外に投げ捨てようとしていた、能楽などは「昔から続いていること」がその存在意義の多くを占めるが、戦後の日本においてはこれほど意味のないことななかった
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    明治維新は江戸時代を否定し、戦後は戦前を全面否定した、この短絡さがおめでたい、知性や合理性だけでは解決できない問題が世の中には多い、昔から続いていることは一つの知恵である
  • コロナの時、行き交う西洋人の何人かが例によってマスクをする日本人を見て「みんなと同じように行動する日本人」を見下してマスクを付けなかった
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    みんなと同じ行動は良い面もあるが、経済停滞の一つの原因でしょう
  • 長い間、外交官としてさまざまな国を見てきた篠田氏は、日本が良い国であること、日本のようにまともな国はそうないこと、多くの人が住みたくなる良い国だと言えること淡々というのである
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    何かというと日本を悪く言うのが知性的態度だと勘違いしている人が多いが、これらの人たちは国民からは徐々に見放されているのではないか、日本は世界一素晴らしい国だと思う

期待を裏切らない良い本でした

(完)



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