BSテレビで放映していたロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団演奏会を観た。
<曲目>
交響曲 第4番 シベリウス 作曲
レクイエム ニ短調 K.626 モーツァルト 作曲
<出演>
ソプラノ:サビーヌ・ドゥヴィエル
メゾ・ソプラノ:サーシャ・クック
テノール:ユリアン・プレガルディエン
バリトン:ベンヤミン・アップル
合唱:オランダ放送合唱団
管弦楽:ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団
指揮:クラウス・マケラ
収録:2022年11月25日 コンセルトヘボウ(アムステルダム)
シベリウス交響曲第4番は初めて聴く曲だ。宇野功芳氏の解説では、この曲は前作第3番のフィナーレの続編で、シベリウスの7つの交響曲の中ではもっともわかりにくく、それだけに醍醐味満点だ、旋律的要素が著しく後退し、断片的な動機の発展や処理が構築の基礎となり、楽器の使い方も含め、すべてが簡素化されている、としている。
一回聴いたくらいではとても理解できない曲だが、他の交響曲と同様、北欧の清涼なイメージがある曲であった。終結部は極めて静かに、静謐に終わる。夏の白夜の景色がシメージされる曲だ。
モーツアルトのレクイエムは彼が亡くなる1791年に作曲されたが、魔笛の作曲と両方一緒にやらなければならない多忙さと病気とにより結局未完に終わった。死の直前にモーツアルトが弟子のジェスマイヤーに未完部分の指示を与えたので、彼が補筆して完成させた。このジェスマイヤーの補筆には批判も多いようで、他の人の補筆版も出ているが、今日の演奏はジェスマイヤー補筆版と出ていた。
これも宇野功芳氏の解説では、モーツアルトは聴衆のことは一切考えずに自分のために作曲したとある、そして、これほど暗く、深刻で、厳しい曲はなかったとしている。ただ、ベルディーのレクイエムに比べれば好きなレクイエムだと感じた。モーツアルトらしさは随所に出ていたように思う。
さて、追加で2つのことを書いておこう
- この2曲の演奏の後、この演奏を指揮したフィンランド人のクラウス・マケラのインタビュウーが放映された。2022年に来日したときに収録したものだ。今年27才の若手有望株で、2020年6月、パリ管弦楽団の次期音楽監督に決定したと聴いて驚いたが、更に、2027年にはコンセルトヘボウ管弦楽団首席指揮者への就任が発表されたと聴いて更に驚いた。12才からチェロと指揮を学んだそうだ。彼の指揮に対する考えがいろいろ聞けて参考になった。ヨーロッパでこのような若手が重要ポジションに抜擢されるとは、ある意味でヨーロッパの強さだろう、年功重視の日本でも若手の指揮者を常任指揮者に指名する例はあるが、N響などでははいくら有能でもこのような人事は難しいのではないか。
- コンサート会場となったコンセルトヘボウには一回だけ行ったことがある。出張で12月のアムステルダムに行ったとき、同僚との夜の付き合いもそこそこに、夜8時からの演奏会を聴きに行った。演目はバッハのクリスマス・オラトリオだった。舞台が少し高いところにあり、指揮者が上の段のパイプオルガンの下くらいのところから降りてくるのがめずらしい。良い思い出になったが、その当時のことを思い出した。下の写真はその時のもの。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます