父がはっと目をみひらいてこういった
「おれの人生はどうだったかな」
「おれは、いままでどこにいたんだ」
「大阪」
「おれは、そこで稼いできたか」
「大阪では稼がなかったね」
「でも、いままでたくさんの人にかかわって、人を助けたり、喜ばせたりしてきたから
私がどこに行っても、おとうちゃんの子供だということで大切にしてもらえるんだよ。おとうちゃんは人をそれだけ喜ばせてきたんだよ」
と
言った。
「人を 喜ばせないと!」と
父はつよく言った
「人を、喜ばせて生きないと。人を喜ばせて、それで、ありがとうと言われるような仕事をして、生きていくのが ほんとうだ」
と
つよく言った
喜ばせて 人に喜ばれて その上で生かされる
人を最後まで喜ばせるような そんな 生き方
人を 最後まで 喜ばしたい、喜ばしたいと思うような
そんな気持ち
誰かと 挨拶を怠っていないか
誰かに、ちゃんと連絡をとって
誰かに ちゃんと お礼をしていないか
そんなことを 今でも気にしている。
人を喜ばせて 生きる
人を喜ばせること こそ いい人生
生涯、人を喜ばせてこそ、
と思っていきる
そんな父に 恵まれたなあ、
と
思った日。