長い1日終了。
22時30分。
先程帰宅。
長かった。
私のロケ人生でも5本の指に入るほどハードで長い1日やった。
朝4時30分頃、例の雷と豪雨で目が覚める。
目覚ましまではまだ1時間弱ある。
30分程天候の回復を祈りながら惰眠。
しかし、回復するどころか雷が鳴るたびに窓ガラスが震える。
「これはJRが止まるな…」
確信めいたモノを感じ早めの起床。
テレビとネットで情報集め。
「おっと、PCのネット繋がらねぇ…」
事態は深刻。
予定より早い6時前に家を出る。
撮影クルーと落ち合うために天満橋の会社に出勤。
しかし…やはりJRは止まっていた。
早朝の為、駅に人は少ないが完全に止まっている様子。
「ヤバイな…どうする?」
家に戻ってクルマ出すか?
阪急まで走るか?
しかし阪急が動いている保証はない。
一瞬迷ったが阪急へ。
雨の中走る。
すると500メートル程さきの踏み切りに
梅田方面へ走る電車が見えた。
「動いてる!」
走った走った。
阪急の駅に滑り込んで知った。
梅田-高槻間の折り返し運転。
「…」
とりあえず、営業担当を電話で叩き起こし、
俳優さんの事務所のマネージャーと連絡とって
今後の対応を指示。
実は、ここ2日間、京都の伏見で個人宅を丸ごと貸切って
ドラマのような撮影を行っていました。
(スー玉さんのクルマ屋さんに歩いて行けるほどすぐ近くでした)
そのため、出演者はJR高槻駅に集合し、
幼稚園バスのようなロケバスに全員乗せて現場入りしていたのです。
しかし、JR高槻駅は使えない。
全員、阪急高槻市駅へ急遽集まってもらうよう
段取りをお願いし、自分は一秒でも早く会社へと急ぐ。
50分あれば余裕で着く出勤路を1時間40分掛けて到着。
今度は撮影クルーのと2台で京都を目指します。
しかし、今度は高速道路がほぼ通行止め。
近畿、第二京阪、名神…
全て通行止め。
日本の高速道路で日本一渋滞の多い吹田-京都南の区間を、
日本一混むこのお盆の時期に通行止めなんて…
下道の混み具合を考えると目眩がする。
目的地までのハードル多すぎ。
でも、まだ朝の8時と時間は早め。
乗れるところまで阪神、近畿と乗り継ぎ、
途中から下道へ。
しかし土砂崩れなど多くの被害が出た
高槻や京都方面へ向かう道路は逃げ場所がない程の渋滞。
時間は刻々と過ぎる。
そんな中、営業担当より入電。
「出演者さん全て揃い、ロケバスに乗せました」
「!」
「マジか?早い!」
急な集合場所の変更。
電車が動いているのは梅田駅-高槻市駅間だけ。
正直たどり着けない人が出ると思っていた。
後で聞いた話だが、阪急高槻市駅には、
ホームから零れ落ちんばかりの人で溢れていたらしい。
今日の俳優さんは全部で7人。
下は高校生から60歳以上の人まで。
さすが日本人。
仕事なら皆くるね(笑)
高校生でも警報や非常事態宣言の出た町へやってくる。
普通に。
衣装の入った大きな鞄を抱えて。
そう、来るのを躊躇った人はいなかった。
ちょっと感動した。
俳優さんと営業担当、マネージャーを乗せた
ロケバスが動き出した時に
営業担当からメールがきた。
今から171号線の大渋滞に突っ込もうとする寸前に。
「リスケしますか?」
既に1時間以上スケジュールは押している。
このまま渋滞に突っ込んだらさらに予定は押す。
営業担当から最後の判断を聞いてきたのだ。
ここで中止にするのはたやすい。
クライアントも心配している。
しかし、中止にすると数ヶ月間の準備期間と高額の制作費が飛ぶ。
さらにリスケすることによって更なる費用が乗ってくる。
出演者のスケジュールも抑えきれるかわからない。
30秒ほど考えて返事。
「突っ込みます」
言っちゃった(笑)
後は突っ込むだけ。
時間内に。
明るいうちに終わらせる。
撮影しなければならないシーンは盛りだくさん。
時間がない分ワンカットに掛ける時間を
詰めなければなりません。
しかし粗い仕事には出来ない。
段取りが大事。
今日は、部屋の中だけでなく
家の周辺での外撮影もある。
予定では外回りを先に終わらせる段取り。
しかし、雨のせいで地面が濡れている。
出来ることなら乾くのを待ちたい。
幸い、昼前から少し陽もさし始め、少し乾き出した。
「外回りを後の撮影に回せば乾くかも…?」
次々襲ってくる迷い。
しかも昼過ぎにもう雨が降らない保障はない。
途中から雨が降り、外回りの撮影をこぼしてしまうと
どちみちスケジュールの組みなおし、再撮となる。
しかし、画面に雨の雰囲気が残るのは嫌だ。
「出演者が到着するまで考える」
私の言葉に撮影クルーはどちらでも動ける状態で待機。
そして、2時間以上遅れて何とかロケバス到着。
出演者がバスから降りてきて挨拶した後、
皆、一斉に聞いてくる。
「外からやりますか?中からやりますか?」
皆、気にすることは同じ。
スタッフ、出演者合わせて20人近い全員が皆、私に注目する。
「外からやります!」
この言葉をキッカケに全員が散っていく。
衣装チェックからカメラの画面チェック、
撮影小物の指示、出演者の立ち位置、動きの確認と、
ディレクターの私にはやることがたくさん。
怒涛のように攻めてくる大きな流れをうけとめ
流していきます。
良い物を作るために、皆、少しでも時間を稼ごうと必死でした。
そしてオールアップ。
何とか陽が落ちる前にこの日の全ての撮影を「突っ込んだ」。
帰り道、クルマを運転する営業担当は妙なテンションやった。
どこで手に入れたか「かっぱえびせん」の袋を又に挟み、
バリバリ食べながら今日一日の大変さを振り返っていた。
やはり昼過ぎに再び雨が振ったこと。
外回りの撮影を先に終わらせていたことが吉とでたことなどなど…
長かったなぁ今日は。
きつかったなぁ今日は。
今日の嵐に振り回された人すべてに。
お疲れ様でした。
今日はビール飲んでええかな?
怒涛の3日間ロケ。
あと1日。