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◇分類・打碁集の学び方……5回目
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棋譜並べで最も重要なポイント。私の場合は〈温故知新〉だと考えています。それを示したのが、実は最新のAI(2018年版以降)らしいですが。
「自分が接した中で気になった碁の打ち方・考え方について、
昔の名人・上手の実戦例をヒントに、背景を調べたり考えたりしてみる」
そうする事で、気になっていた事を解決する為のヒントが見付かりやすくなります。
この回は、昔の碁をヒントに〈温故知新〉を実戦してみた話について。
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A》ツケノビ定石への疑問
「私が碁を覚えた頃は、 “ ツケノビ定石は良い打ち方だ ” と教わった。
ところが最近のプロは、ツケノビ定石を全然使わない。
もしかして私は、強い人に騙されたのか?」
これは、70才過ぎた囲碁ファンから聞いた話。時期は西暦2010年頃。詳しい事情は分かりませんが、「ツケノビ定石は良い打ち方」と教えられたのは事実でしょうし、2010年頃のプロの碁ではツケノビ定石は滅多に使われていない(?)のも多分事実。
プロがツケノビ定石を使わない理由__それを理屈で証明する事は可能でしょうが、
「だから現代のプロは、ツケノビ定石は使わない」
と言う説明をしてしまうと、その人がこれ迄に勉強されてきた事や囲碁人生を全否定しかねない。結果、囲碁や囲碁指導者に対しての不信感を引き起こしかねない。
なので、「使わない理由」に関しては、私は出来る限り説明しない様にしています。
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B》過去の実戦例で考える
プロの碁で言う「序盤戦の良い打ち方」とは、
「黒番・白番、お互いにミスが少ない」
そんな状況を示していると思われます。それを踏まえて。
歴史をさかのぼれば、プロだってツケノビ定石を使っている。
まずは、坂田栄男 vs 藤沢秀行戦から。この対局では、黒番の坂田先生がツケノビ定石を使われています。この場合のツケノビ定石は、当然良い感じの使われ方。
↓↓坂田先生のツケノビ定石↓↓
次は、岩本薫vs坂田栄男戦。この碁を批評した小林覚プロによれば、
「この場面でツケノビ定石を使われたのは、さすが岩本先生ですよね」
↓↓岩本先生のツケノビ定石↓↓
冒頭に戻って、「プロは何故、ツケノビ定石を使わないんだ?」と言う話。
過去の碁を調べれば、歴史に名を残したトッププロは、ツケノビ定石を適切な場面でつかっている。
しかし現代のプロほ、ツケノビ定石を滅多に使っていない。
こうした事を組み合わせて考えると、
「これはあくまでも、プロの打ち方の流行の問題。
もしも “ ○○な場面では有効 ” と判断すれば、
現代のプロでもツケノビ定石を使うと思います」
それをお伝えしたら、
「なんだ、ツケノビ定石そのものは間違いでは無いのか。
自分が良いと思ったら、ツケノビ定石を使っても良いのか……
ウンウン(゜-゜)(。_。)」
と、納得されていました。
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