少し放置気味なPRS・SEバーニーマースデンモデルですがパーツもそろったところなので組み立てを始めます。オリジナルパーツを外してみても木工の精度はかなり高いですね。なんとなくディープジョイントがわかるネックポケットやキャビティにも導電塗料がちゃんと塗られています。毎回なのですがアジアンSEはセンチサイズのパーツを使っているのでボリュームポットの穴をCTSにする場合大きく広げないとならなく、ひと手間加わります。純正のバーブリッジはアルミ製の軽量タイプでビンテージトーンを狙っているようですね。ブリッジスクリューは本家PRS程の精度はありませんがかなりタイト。PUキャビティから見えるタイガーストライプのべニアは薄いですがその下にしっかりとしたメイプルがマホガニーの上にラミネートされているのがわかります。品のある太めのワイドファットネックと245スケールは現行のリアルレスポールモディファイのきっかけのモデル。現在は既にバーニーマースデンモデルの生産は完了していますが同じ仕様はSE245に受け継がれています。
好みもありますが10万円以下のビギナーからスタンダードクラスまでのクォリティではダントツのSE。ルックスに重点をおいたり、ビンテージを意識しすぎたり、きいたことのない材料でコストダウンをしているギター等もありますがそんな中では素材、価格、スタイルも王道を行く存在のSE。レギュラークラスのカスタム、マッカーティー等の価格設定が現実的ではないのでSEが安く感じるのかもしれませんが80年代の国産ハイエンドギターと比べても確実に上をいっている感があります。
本家ギブソンではメンフィス工場の売却や負債の増大、音響メーカーの買収等迷走を繰り返しているようです。M&Aを繰り返すアメリカ的経営方が我々ギターマニアの聖域メーカーまで怪しくさせているようで予断を許せません。我々からするとアメリカといえばギブソン、フェンダーとなるくらいの聖なる象徴ですがビジネス的にはアップルなんかとは比べ物にならないくらい小さいのでしょう。驚く値段のハイエンドモデルは日本のマニア向けで本国や欧州のギタリストはみんなアジア製でいい音を出しています。「メイドインUSA」にほかならぬイメージを持っている日本のギターマニア向けの限定的な商品群がヒストリックやマスタービルド、プライベートストック等のハイエンドモデルなのでしょう。
とはいっても本家のビンテージに限りないコンプレックスを持って再現していたジャパンメイドも技術が成熟したのが80年から90年代のごくわずかでそのままアジアに生産がシフトしていき、今ではいろいろな業界で詐称疑惑の問題になっていてもしょうがない気がします。しかし、今のアメリカを見るとメイドイUSAにこだわるのはギターくらいなのでしょうね。USAメイドのiphoneや車は逆に胡散臭い気が。先進国での生産とは職人の工房的生産で価格は言い値で不安定、アジアや東欧生産が高品質で低価格、品質安定でトラッドなんていう時代に確実に突入しています。