Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

NEW STRATOCASTER

2016-06-05 16:56:14 | GUITARS

55年製ストラトキャスターのネックに合わせたボディを製作してもらい、半年後にやっと完成したダコタレッドのストラトキャスター。ネックが55年ですが57年までのストラトキャスターを世襲した雰囲気をEMGとアノダイズドでまとめた感じです。ボディの製作をしてくれた「RUNT GUITARS」の後藤氏が軽量の素晴らしいアルダー材を選び出し50年代のボディをカッティングしてくれました。ニトロセルロースラッカーであえてグロスフィニッシュ。60年以上経過したネックなので数年前に亀裂等を完全にメンテナンスしリフレット。そのためネックエンド部分の形状が変化したのでそれにジャストフィットするネックポケットを再現してもらいました。シムを入れないでブリッジをフローティングさせサドルネジが飛び出さないところで低いアクションというたいそうわがままなセッティング。そのためネックポケットはレギュラーよりもかなり浅めにカットされています。バックコンターは50年代風の深めでエルボーラインはひじょうに滑らか。アッセンを組み込んでも重量3.2kgと超軽量でこの年齢に優しい仕上がりとなりました。

ブリッジはカラハムのゴールドでアノダイズドピックガード固定ネジやもろもろもゴールドだろうと企みましたが、かなりクドいのでネジをステンレスに変更。多少落ち着いた感じになりましたがアノダイズドにはシルバーパーツのほうがしっくりくるような気がします。赤いストラトは派手なようで意外と渋くキマリます。当時のカスタムカラー全般に言えますがストラトの近未来デザインにはどんなカラーでもしっくり馴染む不思議なスタイリング。トラッドなギブソンのデザインにファンシーなカラーのほうがミスマッチ感で派手になるのでしょう。

さてサウンドですが目玉はなんたってEMGのSA。ハムバッカー85より全く自然な質感には驚きです。恐ろしいことに最近のパッシブでちょっとだけアヤを付けたピックアップよりバランスのとれたビンテージサウンドです。古くから定番のSAですがこれには脱帽です。アクティブ臭いなんていうのは先入観でそのまんまのパッシブトーン。出力は数字ほど高くなくより自然で細かなタッチの再現力はこだわりのビンテージモディファイ物よりリアルです。早くからこれに出会ってればよかったと痛感します。ダイレクトで65年製スーパーリバーブにプラグインしても芳醇なストラトサウンド。EMGに付属のオリジナルポットはBカーブ的動きですが違和感は全くありません。ビンテージストラトトーンによく表現されるベルトーンはどのポジション、どの音量でもしっかり味わうことができてオーバードライブの安定感はさすがアクティブPUというところです。ポールピースがないスタイリングもムスタングやデュオソニックでありましたから違和感は全くありません。ローアクションのストラトで気になるフロントPUの1,2弦の音量が弱いこともなくタッチに合わせたようなアタックが再生されるのにはついニヤケてしまいます。一言で表現するならアクティブなのにアコースティック感がふんだんにあるストラトという感じ。

当分この赤いストラトが活躍するでしょうね。

ビンテージにこだわらないモダンなギターもクリエイトしている後藤氏のRUNT GUITARS。

https://www.facebook.com/RuntGuitars/

 

 

 

 


EMG SA

2016-06-02 09:50:51 | GUITARS

ストラトキャスターのチューンナップで一番時間がかかり楽しいのがピックアップ配線作業です。しかし、このEMGのSAセットはポットやジャック、線材がコネクター付きですべてあり配線作業はじっくり時間をかけても10分で完了。ギターに組み込む前に配線不良がないかもチェックできます。そのままアンプにプラグインしてもノイズがゼロというのが恐ろしい。注意点を上げるとするとコネクターに負荷がかからないように差し込む方法をフラットにするケーブルの取り回しくらいでしょうか。

このワイヤリングはベーシックなパッシブトーンのスタイルですがアクティブトーンや様々なスタイルの配線が可能です。簡単で美しく仕上げられるので配線やハンダ付けが苦手なギタリストには最高です。取説もきれいなイラストで丁寧に配線の順番も明記されているのでやさしさすら感じ取れます。

一般の楽器店に流通し始めた80年代後半では最先端で高額だったEMG。セットの登場で現在ではこれに勝るコストパフォーマンスの高いピックアップは無いくらいのレベルになっています。ギタリストも迷ったらEMG。


EMGとアノダイズド

2016-06-01 13:49:47 | GUITARS

ここ最近はペダルやパーツのお話しばかりでギターはどうした?と言われたりはしていませんが昨年オーダーしたストラトキャスターのボディで新たに製作です。一度も手にしたことがなかったアノダイズドピックガードバージョンを以前から狙っていたのでついにやってきたという感じです。ピックアップは勿論EMGのSAセット。EMGはブラックが長年のスタンダードですがこのアイボリーカラーもストラトにはマッチングはいいですね。

EMGの付属のポットやスイッチがこれまた渋いミリサイズなので、ピックガードをフェンダージャパンにも対応のミリサイズをオーダーしましたが色合いと質感がどうもしっくりきません。ゴールドの度合が強く表面が滑らかで若干薄い印象。つくり、仕上げの完成度はこちらのほうがありますが50年代のフェンダーの感じとは明らかに違うので再度フェンダー純正のピックガードをオーダーしました。数年前に自作したプレジッションベースの時に使用したフェンダー純正のアノダイズドピックガードとも色合いが少し変わりますが厚さやマッドな雰囲気は同じ。やはりこの処理は個体差があると言われてます。ポット穴の形状もインチとセンチで違いが出ていますが何とかワッシャーで対応できる範囲。ピックガード固定のネジはインチを使わないといけません。

しかし、EMGのセットを組むときは毎回思いますがハンダ不要でコネクター配線のやり方でパッシブやアクティブトーンの使い分けが出来て、配線ターミナルの機能も兼ねた新型5wayスイッチはキャビティ内のスペースを確保し電池スペースも増設不要です。線材をチョイスしたりのマニアックさは減りますが誰でも自由にセルフで安心できる究極の完成品です。SAはEMGシングルコイルの大定番でアルニコマグネット使用のビンテージスタイルですがエフェクトやアンプを選ばないトーンとノイズが無く音の通りは格別。長年ハムバッカーの85を嗜んでますが、いざというときには裏切らない安定感は他に類を見ません。ビンテージ信仰者の中にはEMG否定派もいますがまさに食わず嫌いのレベルでしょう。トランジスタアンプのクリーン時は独特の質感はありますが少しでもクランチ成分を足すとそのまんまのフェンダー、ギブソンサウンドに変貌するのが恐ろしい。EMGは磁力が極端に少ないのでPUを弦スレスレまで近づけても問題ありません。逆に近づけるほうが生々しい鳴り方になりますが距離をとってまろやかな質感も作れるセッティングレンジが広いのもEMGの醍醐味です。

ストラトキャスター自体がパーツの集合体ですのでそのセレクト方法で別の楽器に変貌したりもします。若いころはつい突飛なオリジナリティーを追及してしまいがちですがやはりそれぞれの年代のスタイルを継承しないと長く所有することにはならないのが経験上あります。カスタムカラーやピックガードもその年代の流行り、技術を反映していますからルールというものがなんとなく確立しているんですね。それを理解できなかった時代に何本のギターを使えなくしたことか。


55年ストラト帰還

2016-04-07 15:50:05 | GUITARS

55年ストラトキャスターが半年ぶりに帰ってきました。還暦を過ぎたギターの本格的なお色直しです。ネックはネオビンテージを作り続けている某メーカーにオーダーしセットアップしてもらいました。結果、いろいろな歴史的痕跡が判明。オリジナルネックは幾度となくリフレットを繰り返し、トラスロッドネジ部分が割れて開き気味のまま接着。そのためネックポケットサイドが広めに削られ太めのネックをリセットしても隙間が大きく出てしまいます。メーカーの工房でネックポケットを再度修正をかけてジャストフィット。新しいネックは木目のない詰まった質感の極上メープル。50年代のレスポールライクな太めのグリップですがエッジ処理が素晴らしく左手の中に入り込んできます。フレットはミディアムジャンボ。ネックポケットとネックエンドの厚さが55年の理想的な形状でシム無しでもブリッジをフローティング状態でサドルの高さを高い位置に持っていけます。これによりハイエンド工房ギターのように弦高を極限まで低くしてもすべてのフレットで鳴りきります。

ネックの着色は55年特有の変色しない感じを再現してもらいました。極薄ニトロセルロースラッカーがメープルの質感をそのまま伝えます。ペグは安心の世界のゴトー。センターピックアップの鳴り方が以前より迫力が増したような感じは気のせいかわかりませんがいい感じです。

リアルなビンテージモディファイではないですかキッチリと鳴らしきれるギターが一番長く窘められるギターです。特にストラトはセットアップが多様な分、狂いも生まれやすいデメリットがこれまた悩ましい。

そろそろオリジナル55年製ネックの赤いストラトの制作に取り掛からないといけませんね。

 


ニューストラト

2016-01-15 09:57:18 | GUITARS

新しいストラトキャスターの登場です。まだ製作途中ですがいいギターに仕上がるような予感。ネックは長年酷使されて亀裂が入ったネックをメンテした55年製のストラトのネック。幾度となくスリ合わせを施し若干スリムになった指板の高さを保つためにジャンボなフレットが仕込まれていましたがメンテをしたときにフェンダーサイズより少し高いミディアムを打ちました。そのために弦高のフィーリングが少し変化したため再度リフレットするのもネックに申し訳なく、そのネックが生かされるボディを作ることに。市販のコンポーネントボディはネックポケットの寸法が微妙に合わないのでポケットを作り直すためカットしていない単板からの製作になります。そこで後輩のギタービルダーG氏にオーダー。重量やボディ形状も50年代のストラトを世襲し微妙なネックポケットの形状を再現してくれました。カラーは何たってダコタレッドで極薄ラッカー。ブリッジ等のパーツはストックしていたカラハムのゴールド仕様。アッセンをのせてどんな感じになるかも想像できるくらいの鳴り方をしています。

ストラトキャスター程パーツチェンジで雰囲気が変わるギターもありません。サウンドも見た目も別なギターになるのが楽しい。この還暦をとっくに過ぎているネックと新しいボディとアッセンの融合。普通は酷使されたビンテージのネックを新しくするのはよくありますが今回はその逆。ということは55年製のボディと新しいネックという巻きが出てくる可能性も。オリジナルのビンテージにこだわるのもわかりますがいいフィールとサウンドが保てなくなると楽器としての価値は下がります。そのギター特有の声というものがあって経年で良くなることもあれば悪くなることもあり、そこの見極めが重要になってきます。フレットが無くなって断線したピックアップがついているオリジナルは眺めているのはいいですが必然的に弾かなくなっていきます。弾かないでいると楽器も鳴らなくなっていきますが大きいのは弾き手側がその楽器を鳴らす身体にならないということです。1週間程同じギターばかり弾いていると体がその楽器に順応してきてそのギターになかったサウンドを引き出せたりする瞬間があります。それはアンプやペダルにもいえることで奏者がハードウェアに慣れてくるということです。短期間に経年変化は起きません。特にギター、アンプ、ペダルのコンビネーションはすぐに結論は出るものではないしプレイする環境、音量でそれは変化し続けます。要するに昔は理解できなかったけれど今わかるということですね。別の言い方だと「魂込め」。ストラトのセットアップとはギターの状態と弾き手のコンディションをマッチングさせるということです。しかし、ついつい弾き手側の意見を前に出しがちになるのがギタリスト。コミニュケーションが大事ということです。さて、この赤いストラトはこうご期待。

ギタービルダーG氏のサイトはまた別にご案内しますがトラッドなスタイルに拘らない斬新なギターも作っている新進気鋭の製作家。今後の活躍も楽しみです。