55年製ストラトキャスターのネックに合わせたボディを製作してもらい、半年後にやっと完成したダコタレッドのストラトキャスター。ネックが55年ですが57年までのストラトキャスターを世襲した雰囲気をEMGとアノダイズドでまとめた感じです。ボディの製作をしてくれた「RUNT GUITARS」の後藤氏が軽量の素晴らしいアルダー材を選び出し50年代のボディをカッティングしてくれました。ニトロセルロースラッカーであえてグロスフィニッシュ。60年以上経過したネックなので数年前に亀裂等を完全にメンテナンスしリフレット。そのためネックエンド部分の形状が変化したのでそれにジャストフィットするネックポケットを再現してもらいました。シムを入れないでブリッジをフローティングさせサドルネジが飛び出さないところで低いアクションというたいそうわがままなセッティング。そのためネックポケットはレギュラーよりもかなり浅めにカットされています。バックコンターは50年代風の深めでエルボーラインはひじょうに滑らか。アッセンを組み込んでも重量3.2kgと超軽量でこの年齢に優しい仕上がりとなりました。
ブリッジはカラハムのゴールドでアノダイズドピックガード固定ネジやもろもろもゴールドだろうと企みましたが、かなりクドいのでネジをステンレスに変更。多少落ち着いた感じになりましたがアノダイズドにはシルバーパーツのほうがしっくりくるような気がします。赤いストラトは派手なようで意外と渋くキマリます。当時のカスタムカラー全般に言えますがストラトの近未来デザインにはどんなカラーでもしっくり馴染む不思議なスタイリング。トラッドなギブソンのデザインにファンシーなカラーのほうがミスマッチ感で派手になるのでしょう。
さてサウンドですが目玉はなんたってEMGのSA。ハムバッカー85より全く自然な質感には驚きです。恐ろしいことに最近のパッシブでちょっとだけアヤを付けたピックアップよりバランスのとれたビンテージサウンドです。古くから定番のSAですがこれには脱帽です。アクティブ臭いなんていうのは先入観でそのまんまのパッシブトーン。出力は数字ほど高くなくより自然で細かなタッチの再現力はこだわりのビンテージモディファイ物よりリアルです。早くからこれに出会ってればよかったと痛感します。ダイレクトで65年製スーパーリバーブにプラグインしても芳醇なストラトサウンド。EMGに付属のオリジナルポットはBカーブ的動きですが違和感は全くありません。ビンテージストラトトーンによく表現されるベルトーンはどのポジション、どの音量でもしっかり味わうことができてオーバードライブの安定感はさすがアクティブPUというところです。ポールピースがないスタイリングもムスタングやデュオソニックでありましたから違和感は全くありません。ローアクションのストラトで気になるフロントPUの1,2弦の音量が弱いこともなくタッチに合わせたようなアタックが再生されるのにはついニヤケてしまいます。一言で表現するならアクティブなのにアコースティック感がふんだんにあるストラトという感じ。
当分この赤いストラトが活躍するでしょうね。
ビンテージにこだわらないモダンなギターもクリエイトしている後藤氏のRUNT GUITARS。
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