大体の調整が終わったワーモスのテレキャスター。50年代初頭のフェンダーテリーのモディファイですがリアルビンテージというのではなく、あくまでビンテージ風な感じ。ワーモスはフェンダーからライセンスを取っているアメリカのギター用木材業者。80年代のカスタム工房メーカーの材としてかなりの供給量を誇っていました。そこのオリジナルギターではなくワーモスのボディ&ネックを使用して国内工房で組み立てた代物。それ風ですがボディ形状やネックシェイプなどは微妙にフェンダーと違います。
ネックはワーモス社オリジナル、プロネックというスペック。上下にストレートな2本のトラスロッドが入っているダブルエクスパンディングトラスロッドとネックエンド部サイドからも調整可能なゴトー製SAT-2というアジャスターが組み込まれている。基本はネックエンド部のネジで調整して微調整をサイドからレンチでする2段構え。知らない人はネックを外さないでサイドからの調整だけで済むと思いネジを切ってしまい後悔される方が多いとか。このサイドアジャスター自体可変幅が少ないのでオマケのようなパーツですがネックを外してエンド部でストレートにして弦を張ってから順反り具合を確認しつつ、弦を緩めてサイドで微調整という風に使います。弦のテンションによる反り具合を想定しなくてもいい便利なパーツ。世界のゴトー製品でもあまりメジャーにならなかったものですがワーモスが粘り強く最上級グレードに使っている思い入れの強い一品。ネックだけにこんなにもたくさんの秘密を隠しているものですからもちろんこの機構を仕込むにはワンピースメープルネックでは不可能でローズ指板のような張り合わせをしなくてはなりません。この個体はかなり厚めの貼りメープルバージョン。なのでこの仕様の為なのかの超極太ネック。しかしエッジの処理もよく指板はフェンダーよりフラットなので弾きやすさ抜群。ローポジションの極太感の割には9F以降のハイポジションは滑らかなので違和感はありません。しかしその細工の為、ネック重量は上がりタイトになってネック自体の鳴りを制御する方向に行く。これがワーモスネックは鳴らないといわれる原因かもしれません。
ボディは2ピースのライトウエイトスワンプアッシュ。このボディ重量だと通常はギター重量3kg前半ですがネック重量の影響で3.4k強の標準的な重さ。若干ネックが重いバランスですが慣れると問題はありません。PUの関係もありますが枯れたビンテージトーンではなく重心の低めな感じでクランチのシングルノートもズッシリ響きます。太いネックは意外と長時間のプレイでも手のダメージを軽減させるような気が。カスタムメーカーによくあるタイトなネックポケットのジョイント部分がよりモダンなタイトな感じの鳴りを生み出します。ここの部分はリアルなフェンダーを追い求めるとニュアンスが違ってくる部分なので判断が難しいですね。
ローアクションでテンション緩めの設定だとネックはほとんど動きません。逆に3kgを切るようなライトウエイトだと低いテンションだと鳴りきらないですがこの重量だとバランスがあっている感じです。
フロントにハムバッカーを仕込んでマイクスターンといきたいところですがとりあえずはこの現状で調整していきます。10年ぶりにテレキャスターを弾いてみてやはりエレクトリックギターの原点だと痛感する今日この頃。