忙中閑話

四季の移ろい、花鳥風月を楽しみつつ
趣味はミニチュア木工、電子工作、旅行など

高速道無料化の延期

2013-06-08 | 随想
 昨日国交省から公表された高速道無償化の実施時期延期のニュースには正直驚か
された。高速道の老朽化が進み、その対策工事の財源確保が必要になったとのこと。

 「え?」と思ったら無償化はもともと順調に行っても2051年からで、今回は
それを10~15年延期して、その間に見込まれる収入を担保に新たに借金をすると
いうのだ。

 もともとの実施が2051年?これから38年後だ。3年後ですら簡単に政策を
反故にしてしまう政治の世界で38年先の約束をすること自体にも驚くが、更に驚
くのは新たに借金するということだ。財源は老朽化対策に限定し他に流用させない
などともっともらしい制限を設けるといっているものの、ガソリン暫定税しかり、
暫定の制度だったものがいつしか あって当然のものになりそのうち固定化される
のは今までに限りなく目にしている。

 話はやや逸れるが、省庁やその外郭団体である独立行政法人についても同じこと
が言え、時代が変わって既に役目が終わったはずなのに名称や事業内容を巧みに
変えるなどをして狡猾に生き残っているものが数多くある。これらは一度出来たら
既得権などといって、よほどのことがない限り廃止されることはない。

 この新たな財源作りの話に戻ると、この手を使えば更に実施を延ばして新たな
財源が確保できるという魔法のような話だが性質が悪い。
40年も先の収入を当てにして借金するという民間では考えられない、というより
は民間では到底ありえない無茶苦茶なやり方である。

なぜ、かれらは要るものは要るという風に開き直り、財源確保に走るばかりで、
歳出を減らす努力を一向にしないのだろうか。

いつかきっと景気が回復して税収も増えるといった、いわば神風神話のような期待
をしているようなのだが、ひと昔前のように数カ国の先進国のみが資源をほぼ
独占して利益を享受するといったようなことは今後ありえず、「二十一世紀は日本
の時代」と賞賛された過去の夢は捨て去るべき時だと思う。


 さらに老朽化そのものについても今降って湧いてきた話ではなく、建設時に
判っていたこと。民間企業なら毎年設備投資の数%を保全費として計上し設備
更新等の老朽化対策を施しているが、かれらにはそんな考えは全くないようだ。


 それとなんと言っても気分が悪いのは、この延期の答申を国交省に行った
作業部会なるもの。作業部会長が寺島実郎なる御仁である。この御仁、TVの
日曜日のさる番組にコメンテーターとして出演しているので目にした人は
多いと思うが、コメントが冗長で色々なデータを並べ一見もっともらしいよう
に聞こえるもののよく聞くと全く自分の意見というものがなく中味が全くない。

ある時、NHK-FMのラジオ深夜便を聞いていたらこの御仁のトークであって
外交問題だったか、経済問題だったか、例の調子であれやこれや、あっちに流れ
たかと思ったらこっちへと具にも付かない話をしたあと親鸞聖人の言ったという
「他力本願」を全く逆の意味に使っていて思わず噴き出した。
「他力本願」を誤用する人は多く辞書にも誤用の方の意味も載ってはいるが、
親鸞について触れたあと引用すれば明らかに意味が違う。偉そうにコメントする
御仁ならこれくらいは知識は持っていて当然というもの。

このようにこの御仁のコメントには知識が豊富なのはわかるが、ほとんど全て
舌の先で滑っているだけにしか聞こえない。

こんな御仁が国交省の作業部会のメンバーでしかも作業部会長とは恐れ入る。

もっとも財源確保の方法に限れば、今回の答申は至極単純な結論である。猿に
でも出来るとは言わないが、別にいわゆる「有識者」でなくてもいい。
施策を立案するのに、第三者の意見だといわんばかりにこういった検討委員会や
評議会を立ち上げ答申させる。これも税金の大いなる無駄使い。



政治家(政治屋)が時折口にする大言壮語「国家百年の計」も軽い。