久しぶりに私の中ではとても充実した映画を観れました。
「ドライブ・マイ・カー」
タイトルなだけに真っ赤なSAABが爽快に走るシーンが多くあり
人生のドライブへと繋がります。
ずっとずっと昔、村上春樹さんの短編小説で
長年連れ添った妻が突然居なくなり
そして唐突に送られてきた小包。
箱を開けた瞬間舞い散った桜吹雪が活字の中で映像のように
浮かび上がった印象的な小説がありました。
そこから始まる妻探しの旅・・
この映画も村上春樹ワールド全開です。
途中でうたた寝をしたという夫を横に
3時間の長丁場も私は吸い込まれるようにストーリーに吞み込まれました。
余韻に浸りながらの帰り道、切符を買う夫を映画のDMを読みながら待ち、
ふと見ると・・・居ない
どこ行った?と見渡すとすでに改札を通りぬけエスカレーターに
沈み込んで行くごま塩頭。
急いで階段を駆け下り追いかけるも車両に乗り込み一足かけたところで
やっと振り返る
「お待たせ」とか「行くよ」とか昔あったコミュニケーションはどこへやら
動物占いで「ペガサス&辰年」=架空の生き物w
「理解しようと思う貴女がすでに間違いだよ」と
言われた言葉が妙に腑に落ちた人
夫婦とはお互いに訳が分からないから一緒にいられるのかもしれません
20代で盛んに読んだ春樹ワールドも
年を重ねると深みが増しているのを実感します。
映画館に熟年女性が多かったのも唸らせる作品なのでは。
無音のワンシーン。
トンネルと人生の兼ね合い。
この映画ではタバコを吸うシーンも大事な役割を果たしていました。
最後の手話で伝わる人生の在り方も感慨深くいろんな事を考えされられます。
カンヌ国際映画祭4冠は納得の作品でした。
兎にも角にも西島さんは素敵です