捨てられたカボチャの種の僕のお話
僕は、人が料理するためにえぐとられゴミ箱に捨てられたカボチャの種。
生ゴミの中にひとまとめにして集められ、大きな袋に入れられ家の外の裏に何ヶ月もおかれた。
僕は真っ暗な中でジーと寝てたんだ。
そして幾月経ったんだろう。
春が来てその生ゴミは花壇の中にうめられた。
僕は耐えた甲斐あり目覚めたんだよ。
暖かさに誘われゆっくりあたりをうかがっていて5月に大地に芽をのばしていったよ。
直ぐには根を伸ばすには体力不足。
ゆっくりゆっくり・・・・・・・。
そして小さな鉢に植え替えられた。
5月14日
少しづつ蔓を伸ばし蕾を付けそして6月14日の朝
2個の花を咲かせたんだ。
主人は始めて花が咲いたと小躍りしてる。
でもその後 主人は叫んだ。
「雄花ばかりだ」 と。
おちょこちょいの主人はよく見てないんだ。
蔓の先に1個だけ雌花があることを気がついたのはズーと後になってからだ。
晴れた日に 雄花と雌花が同時に花開くことが出来れば僕の苗に新しいカップル誕生。
2株を鉢に植えられた僕は根を広く張ることも出来ず
ぎゅうぎゅう詰めで根っこ同士の戦い。
主人の鉢によるカボチャ栽培。
「カボチャの実が育つ葉の大きさにはなれないよ」
と 僕は呟いた。
主人の期待には応えられません。
カーポートの屋根の下で 日射しを浴び風を感じ僕は生きている。