五、「教会とわたしたち」(317)
4.近代の教会の夜明け
―宗教改革―スコットランド
かくしてエディンバラ城の籠城派は完全に孤立した。同月、英国女王エリザベツはモルトン伯との約束を守って、イングランド軍をスコットランドに派遣した。十一日間の砲撃戦で、イングランド軍の大砲がエディンバラ城の城壁を破壊し、5月28日に籠城軍は降伏した。かつて1560年リースにイングランド艦隊を派遣してフランス軍を追い払ってプロテスタントの会衆軍を助けたことがあったが、ここでもエリザベツがスコットランドのプロテスタントを救った。神の歴史の不思議な巡り会わせというより他に言いようがない。
その後1603年、英国の女王エリザベツの死去、スコットランドのジェームス(ここまで前回)
6世が61歳で英国の王になった。エリザベツに嫡子がないので、元イングランドの王ヘンリー7世の曾孫にあたるこのジェームス6世がイングランドのジェームス1世としてそのままイングランドの王位に着いた。かつてあの腹黒いメアリー王女が、自分がこのヘンリー7世の孫に当たるという理由で、イングランド王女エリザベツと王位継承で争ったのは、その血統のゆえであった。この母親から、出生直後、幼児の時から引き離されて育てられたジェームス6世がイングランドの王位に即位するとは、われわれの想像に及ばなかった出来事となった。これをイギリス史では王冠連合(Union of the Crowns)という。(つづく)