創世記21章32節である。「二人はベエル・シェバで契約を結び、アビメレクと、その軍隊の長ピコルはペリシテの国に帰って行った。」という。アビメレクは、20章1節で「ゲラルの王」と紹介されている。更に下って26章1節でイサクが交渉した「ゲラルにいるペリシテ人の王ゲラル」とは世代が違うので別人である。しかし「ペリシテ人の」というところは関係がある。
「ペリシテの国に帰って行った」という。後にこのゲラルの地方を拠点に出エジプトのヨシュアの時代、前12世紀ころからダビデの時代(前10世紀)に至るまでイスラエルを脅かす「海の民ペリシテ人」の遠い先祖であるとするのが最近の説である(フランシスコ会訳注1967)。資料説では時代が違いすぎるとするのが通説である。
33節である。「アブラハムは、ベエル・シェバに一本のきょうりゅうの木を植え、永遠の神、主の御名を呼んだ。」という。ここにわざわざ「一本のきょうりゅうの木を植え」とある。何か意味があったのであろう。しかし今日までそれに関する他に資料がない。残念ながら、正確な意味が不明である。しかしここ状況から判断して、契約のための主への信仰の証として自分の家の者達がいつまでも覚えるための記念の植樹かもしれない。つまりベエル・シェバの名と意識的に関連させて植樹をもう一つの証としたようである。
「永遠の神、主の名を呼んだ。」という「永遠の神」の呼び名は初めて登場する。ヘブライ語における「永遠(オーラーム)」は、「時間がない」という概念であり、限りない時間の長さをいう。われわれの時間感覚と平行も対立もしない。従って永遠の「今」である。この場合は、今、契約の保証をするという力強い神の働きをいう。