(原 光訳 2000年、沖積舎)
ダンテの「神曲 地獄」編 第12歌(カッコ内は筆子、その8)
◯わたしの師は言つた、「返辞はそこに近づいたらキロン(チェンタロウの仲間)にする、お前のいつも厚かましい逸(はや)り心は禍の因(もと)だつたからな。」
それから肱でわたしに触つて言つた、「あれがネッソだ、美しいデイアニラのために死に、自ら自身の復讐を果たしたあいつだ。
自身の胸を見詰めてゐる真中のものは、アキッレを養い育てた大キロンで、もう一人はあんなにも怒りで燃え狂つてゐたフォロだ。
(ここまで前回)
◯このものたちは何千とこの堀のまはりを走つてゐて、自身の罪により規定されてゐる以上に、たぎる血から身を出す霊に矢を射かけるのだ。」
わたしらがこの迅速な獣たちに近づくと、キロンは矢を取外して、矢筈(やはず)で髪を顎の左右の後へ押しやつた。
大きな口が現れると仲間たちに言つた、「後ろの奴が触れたものが動くのに気づいたか?死者の足はいつもあのやうに動かさぬ。」(つづく)
◯2016年1月17日は、新年の第三主日。日聖協「聖書愛読こよみ」は「献げる」という主題である。ヨハネ1章35~42節、その42節、「そして、
シモンをイエスのところに連れて行った。~」という。シモンはこの時、イエスから「ケファ―(岩)~」という名をいただいた。この様にして、イエスに
身を「献げる」のであった。
◯写真は、年賀状。東京・柏木教会会員、画伯、小野寺玲子氏、題「冬の訪れ」606×727ミリ富山県・立山(三山)の画である。立山は台形の形であるが、写真は左(北)から、「富士の折立」(2999m),中央に「大汝山」(3015m、右端「雄山」(2991.6mの三山が連なって台形に見える。画伯は10月初め、館山に初雪が降ったころ描いたものであろう。