(原 光訳 2000年、沖積舎)
ダンテの「神曲 地獄」編 第13歌(カッコ内は筆子、その7)
◯「傷つけられた霊よ、」とわたしの賢者が答へた。前にわたしの詩の中で見ただけのことを信じることができたら、このものはそなたに手を差伸べはしなかつただろう、
だが語りはしたがわたしも信じられなかつたのでこのものに折取らせたのだが、わたし自身それを苦痛に思つてゐる。
だがそなたが誰だつたのかこのものに言ふがよい、せめてもの償ひにこのものが戻るのを許されてゐる上の世界で、そなたの名声を回復させてもらふやうに。」(ここまで前回)
◯すると幹は言つた、「そんなに優しい言葉で誘き寄せられると、わたしも黙つてはゐられぬ、餌に釣られてわたしが少し議論に溺れようとも、
煩わしいとは思つてくれるな。わたしはフェデリコ(ローマ皇帝第二世)の心の鍵を二つとも握つてゐたもので、実に巧妙(たくみ)にそれを回して閉ぢたり開(あ)けたりし、(つづく)
◯2016年4月17日は第十六主日、イースター後第三主日という。日聖協「聖書愛読こよみ」は「証人として」という主題である。聖書は、ルカ4・14節「イエスはお育ちになったナザレに来て、いつものとおり安息日に会堂に入り、聖書を朗読しようとしてお立ちになった。」という。イエスご自身も聖書の証人であられたなら、わたしたちも聖書の一人の証人である。
◯写真は気象庁が「2016年熊本地震」と命名。熊本城にとって初体験、被害甚大、救援を祈る。