甲武信ヶ岳(2,475m) ((2)のつづき)
「~ 奥秩父縦走の途中-、東の雲取山から西の金峰山へ向かうときでもよいし、あるいはその逆でも同じことなのだが、甲武信岳までやってくると、誰でもが「ああ、ひとくぎりついたな」とほっとし、山頂にたっては、これまでに辿ってきた山々を眺めて親愛の情をいっそう深め、これから辿っていく山々には、どうかよろしくと初対面の挨拶を送るに違いない。 ~」
(浅野孝一・打田鍈一・楠目高明・横山厚夫著『関東百山』(実業之日本社))
厚い雲に覆われて遠くは何も見えなかったものの、深い森の中にいることはよく分かりました。
今日は甲武信ヶ岳だけを目標に登ってきましたが、縦走の途中にこの山頂に立つ機会があれば、もし天気が悪くても、また違う雰囲気を感じることができるに違いありません。
入り口に小さな鯉のぼりのかかるログハウスの甲武信小屋を経て、2,469mの木賊山に出ました。標識は立派ですが、樹に囲まれて眺望はありません。後で「木賊(とくさ)」を辞書で引いてみると、
「いつも緑色をしている草の名。」(『三省堂国語辞典(第七版)』(三省堂))
とありました。
通行止めの鶏冠尾根との分岐点を過ぎ、急な下りが始まりました。鶏冠尾根は、「熟達者以外危険」とのことです。
木賊山では霧氷を見たほど、とても寒い一日でしたが、標高が下がるにつれてその寒さが和らいでいくのが分かります。
長い行程の終わりが近づくと、カラマツの森に変わり、そして今日初めて紅葉を見ることができました。出発地の毛木平よりゴールの西沢渓谷の方が、標高が300m以上低いので、季節の進み方がほんの少し遅いようでした。
小さな沢に、橋の脚だけが残っています。森林軌道の跡とのことでした。尾根の中腹で採掘した珪石、ここからトロッコで塩山まで運んだという説明書きがあります。
橋脚を見ると、さぞかし小さなトロッコだったんだろうなと思いました。
乗客が自分1人しかいない路線バスで山梨市駅まで行き、「正徳寺温泉初花」の温泉に入りました。
ここでは、うなぎと温泉を一度に楽しめ、その温泉はユニークなモール泉です。ぬる湯の温泉はいつまでもつかっていられます。夢のような温泉です。いい温泉の多い中央線沿線でも、特に好きな温泉のひとつです。
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【毛木平から甲武信ヶ岳に登頂し、西沢渓谷に下山】
毛木平駐車場8:04→ナメ滝9:40→千曲川源流10:55→甲武信ヶ岳頂上11:48→甲武信小屋12:09~12:25→木賊山12:52→西沢渓谷入口バス停16:05
※大河の源流をたどる楽しみと、小海線の信濃川上駅と中央本線の山梨市駅、離れている場所が、意外にも登山道を通じてつながっているという面白さを感じるコースでした。逆方向に歩くコースは、木賊山までの急登が大変そうです。
(体力●●●●○ 技術●●●○○) (登頂:2013年11月上旬)